出版社内容情報
松本清張[マツモト セイチョウ]
著・文・その他
内容説明
遠沢加須子は、夫の遺した中部光学というレンズ製造会社を諏訪で経営している。親会社の倒産で苦境にたった時、手をさしのべてきたのは、ハイランド光学の専務・弓島邦雄だった。親会社の横暴に泣く下請業者の悲哀、加須子にのびる欲望の影、そして奔放な義妹・多摩子の愛憎の果てに、悲劇がおとずれる…。ミステリーの醍醐味を凝縮した長編推理小説。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しーふぉ
22
諏訪湖畔が舞台です。こういうご当地小説を読むと行ってみたくなる。諏訪湖の底には今でもレンズ製作会社の遺したレンズが埋まっているのだろう。2021/02/19
ランラン
9
著者の推理小説を読んで毎回思うことがあって、それは美しい魅力のある女性の描写がうまいということです。今回もその例で主人公の女性が美しく感じられ引き立っています。それだけに怪我をした場面では思わず息を飲みました。2020/06/29
パチーノ
6
これは良作。2019/01/19
sekkey
5
カメラのレンズを製造している下請けの中小企業と発注元の大企業とのお話。ハイランド光学の専務・弓島の手段を選ばない男。ライバル企業をあくどい方法で蹴落としたり、下請け企業をコストカットのためとことん追い詰める。恋愛も自由奔放過ぎて節度がない。 周囲を見下して自分勝手に突っ走ると、誰からも相手にされず、恨みを買い、取り返しがつかなくなる。 当事者になると、当たり前のことに気づかず、後戻りできないところまで行きついてしまう怖さ。 いつもの清張さんらしく徹底した取材にもとづいたリアリティーがあり夢中で読了した。2022/05/27
go
4
この作品は松本清張の作品の中で全く有名では無い。しかし、他の有名作と遜色ない面白さがあった。諏訪湖という舞台がいい。そしてタイトルも素晴らしい。親会社と下請けの構造的問題もなるほどと思った。親会社はいくら儲かろうと他のメーカーとの熾烈な競争にあるので、その皺寄せを下請けに負わせ続け、下請けはいつまで経っても辛い状況から脱せない。2023/04/08