出版社内容情報
松本清張[マツモト セイチョウ]
著・文・その他
内容説明
銀座で洋裁店を経営する美しい叔母、芦名隆子は倉田麻佐子の自慢だった。その叔母から頼まれて、叔父、信雄の故郷に同行することになったが、そこで、所有していた山林が一部売却されたと聞かされる。麻佐子は売却を知った叔父の様子に疑問を抱き、事情を調べ始めた。店の資金繰りが近頃苦しくなったという話も耳に入り、心配は膨れるばかりだ―。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MATHILDA&LEON
25
パッと手に取った作品。著者の作品はテレビでしか知らなかったものだから、物凄く楽しみに開いた。そしたら本当に…おもしろくて驚いた。 叔父夫婦の謎に疑問を持ち、探り始める姪っ子。お嬢様だがアクティブで、上品でありながら根性もある。知りたくない一方で知りたい衝動に駆られる気持ちが非常に理解できるし、自分が姪っ子になってしまった気になるほど、埋没できる作品。下巻に物語が続くのだが、良いところで『続く…』なのでもう気になって仕方ない。2020/09/07
パチーノ
8
引き込まれて上巻を読み終えた。良い意味でも悪い意味でも相変わらず主人公の行動力には目を見張るものがある。今回はタイトルにもある通り『奥の細道』がキーワードとなっている。叔母を愛するがためにとった姪の執念。下巻はどうなるだろうか。2018/10/30
ランラン
7
旅行中に何か事件が起こるのかと思いきや全く予想しない展開に引きずりこまれた。後半が楽しみ。2022/04/17
Symphoniker
1
やっと読み終えた。登場人物も多いし、特に岸井老人の京都弁が非常にリアルに表現されていて読みにくい。しかも、場面があちこちに移り変わり情報を整理するのも難しかった。尤も、強い京都弁はそのように聞こえるのかしら。さて、主人公は倉田麻佐子。そして麻佐子が自慢する芦名隆子はお店の経営者。経営者という点から資金繰りに窮したりあまり良くないイメージがある。しかし、この上巻だけでは実際にどうなのかはわからない。『砂の器』のように下巻が異常に気になるところ。さて…麻佐子の叔父である山林を売却した真相は隆子の資金繰りの為?2024/02/12
紅茶派
1
もともと、講談社文庫だったものが、光文社文庫になったものだそうです。296ページに、江里子さん と 江里子はん が逆になっていたり、そのあとにも、旧友 と 級友 が混じっていたりしました。どの時点で間違ったのかわかりませんが、こういうのは直さないんですかね。原稿から違っていたのかなあ。2022/12/09