出版社内容情報
川口松太郎[カワグチ マツタロウ]
著・文・その他
内容説明
思いを寄せた女性に着てほしくて華麗な振袖を縫い上げた職人、自分のためにお店のお金を横領した若者を無罪放免してもらうために奔走する花魁、親の借金のために請負師の妾になった寄席の娘と貧乏芸人の恋の行方―私利や損得を顧みずに人間の情に生きた「人情馬鹿」たちを、江戸っ子気質と江戸の言葉が生きていた大正期の東京下町を舞台に綴った名作十二話。
著者等紹介
川口松太郎[カワグチマツタロウ]
1899年(明治32年)東京・浅草生まれ。若くして久保田万太郎に師事、のち講談師悟道軒円玉に江戸文芸・漢詩を学ぶ。大阪で直木三十五らと雑誌を編集。1934年(昭和9年)に「鶴八鶴次郎」を発表、菊池寛に激賞される。翌年「風流深川唄」を発表、第1回直木賞を受賞する。その後、「愛染かつら」で人気作家になる。新派の主事を務め脚本多数執筆。戦後は大映映画の重役をつとめる。菊池寛賞、吉川英治文学賞など受賞歴多数。’66年芸術院会員となり、’73年文化功労者となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がんもどき
1
図書館本。 今の小説とはリズムが違って最初のうちはちょっと読みづらかった。大正時代を主な舞台にして、講談師のところに住み込んだ主人公が江戸の空気を語る人情話。それぞれ中編くらいの長さの話が12編載っている。あ、今の時代こういう人情話がなじみないのも読みにくい原因かもしれない。江戸と世界大戦の時代が隣り合った不思議な感覚の12編だった。2019/10/16
月夜のコオロギ
0
正妻、妾、芸者、花魁、義太夫語り、このどれかがこの本に登場する女性ほとんどの職業という時代。短編集だが、うーむ人情話はいいなあと読めるのもあれば、まるっきり共感できないのもある。還暦すぎてる自分でこう思うのだから、もっと若い世代だったらどうだろうかと考えるのも面白いけれど、令和の現役諸氏にはこんなのんびりした時代もいいなと思えるところがあるかもしれない。2024/09/01
富士松
0
朗読・YouTube2019/03/24