出版社内容情報
山口雅也[ヤマグチ マサヤ]
著・文・その他
内容説明
アメリカはニューイングランド地方の田舎町、トゥームズヴィル。同地で霊園を経営するバーリイコーン一族では、家長のスマイリーが病床に臥しており、その遺産を巡って家中にただならぬ雰囲気が漂っていた。一方その頃、アメリカの各地で、不可解な死者の甦り現象が起きていたのだが―日本ミステリ史を代表する革新的な名作が、全面改稿により今鮮やかに甦る!
著者等紹介
山口雅也[ヤマグチマサヤ]
神奈川県生まれ。早稲田大学法学部卒業。大学在学中の1970年代からミステリ関連書を多数上梓し、’89年に長編『生ける屍の死』で本格的な作家デビューを飾る。’94年に『ミステリーズ』が「このミステリーがすごい!’95年版」の国内編第1位に輝き、’95年には『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
123
…人はいつか死ぬ。必ず死ぬ。でも、生き返らない。本来は… 死者が次々と甦り「殺人」という行為の意味を失った世界を描く、特殊設定ミステリの傑作!アメリカで突如起きた「死者の甦り現象」 死者と生者が入れ替わり、殺した相手が蘇る世界で、人を殺す意味とは? その必然性とは何か? 深刻な状況を逆なでするようにコメディ調で進むブラックユーモア。リアルを犠牲にした代わりに「死者が死者でない」という禅問答のようなロジックを残す。真実を追うパンク探偵グリンは、その身が滅ぶまで真相を追う…わたしもグリンを追う! 下巻へ!2021/09/24
セウテス
94
〔再読・上巻〕「犯人は貴女ですね」と、頭を割られた男の横で警部が男の妻を指差した直後、死んでいた男が起き上がった。80年代アメリカ西部の片田舎で、死者が蘇るという事態が起こる。前半は、死者が蘇ると殺人ではないのか、遺言はどこまで有効か、なども含め死と生の境という哲学的物語が進む。まるで海外ミステリの様であり、登場人物の家族や人間関係の説明が細かい。しかし主人公の筈のグリンが、何かの毒を呑まされ死んでしまい、そして生き返ってからは展開が速い。自分を殺した犯人を捜す設定、腐る迄のタイムリミットが何とも良い。 2019/10/02
sayan
44
「死者がよみがえる世界で殺人が行われる」世界の物語。この設定をプロットして楽しめる場合もあれば、なぜ、この世界観?と入口で戸惑う。個人的には後者だ。また、原文を翻訳したのかと思うほど読み進めるのが難しかった。「死」に対する著者の考察が様々な会話等に反映されているが、説明がくどいと感じる箇所が多い印象を持った。エバーミングなど蘊蓄豊かな箇所は興味深い。が、どう下巻で伏線が回収されるのか、そもそもどういう結末になるのか、導線を掴みきれたとは言えないな。気分転換に手に取ってみたが、なかなか下巻に手が伸びない…。2018/09/04
カノコ
39
何度目かの再読。アメリカ各地が死者の甦り事件で沸く中、霊園を経営するバーリイコーン一族は遺産相続を巡ってただならぬ雰囲気にあった。わたしのオールタイムベストに確実に入るくらい好きな作品。上巻はとにかくぺダンティックな描写が続くので少々読みづらい。しかし、死者が甦り「死」そのものが非常に曖昧になっている世界だからこその説得力がある。登場人物がやたらと多く、その上ほぼ全員いけ好かない奴らばかりだが、グリン&チェシャのパンクスコンビとハース博士のことだけは素直に好き。上巻ではほぼ物語が動かない、このまま下巻へ。2021/08/14
きっしぃ
39
なんで日本人が書いてるのに、アメリカが舞台なんだ…😫死者の蘇りという現象が起きているなか、殺された彼は生きる屍として、自分を殺した犯人を探す…。なかなかストーリーが進まなくて読み進めるのが辛いけど、"このミステリーがすごい過去30年の第一位"ということで、期待を高めて下巻へ。2019/04/07