出版社内容情報
毎日が冒険。大自然に抱かれた宮下家1年間の記録。文庫で特別に「宮下家のその後」が読める「おまけ」を書下ろし収録。
内容説明
北海道のちょうど真ん中、十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシ。スーパーまで三十七キロという場所へ引っ越した宮下家。寒さや虫などに悩まされながら、壮大な大自然、そこで生きる人々の逞しさと優しさに触れ、さまざまな経験をすることになる。『スコーレNo.4』の宮下奈都が「山」での一年間を綴った感動エッセイを文庫化。巻末に、「それから」を特別収録。
目次
引っ越すことになった
長い長い春休みが始まる
桜の蕾はまだ堅いまま
山が生きている
トムラウシ登山
プールに入りたかった羆
雪虫が飛んでたよ!
まさかのシンデレラ
子供がつないでくれている
じたばたと楽しむ
一年間だけ、いつもひとり
迷ったり揺れたり
きらきらと輝いた暮らし
いつかまた
著者等紹介
宮下奈都[ミヤシタナツ]
1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年「静かな雨」が「文學界」新人賞佳作となり、デビュー。日常の描写を繊細かつ丹念に重ねることで立ち上がる瑞々しさと、人物の真摯さとが魅力の、いまもっとも注目される作家。『羊と鋼の森』で2016年本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
320
レビュアー大賞をいただき、私が好きな本をオススメできるという、こんな凄いことは二度と無いよー!という、夢のような副賞をいただき、私は迷わず「この本を絶対にオススメしたい!」と思った。幅広く様々な年齢の方々が読んで楽しめるもの、日常にいながら非日常を感じることができるもの、クスッと笑えて楽しい気持ちになれるもの、明日もまた頑張ろうって思えるもの。この本は、これらの条件をすべて満たしている。実は単行本を持っているが、賞品でいただいた図書カードでこの文庫本を買った。最初に買うなら、やっぱりこれしかない!って。2017/12/13
さてさて
310
この作品では、北海道のトムラウシへ、一年という期間限定で移り住んだ宮下奈津さん一家の新しい土地での暮らしぶりが描かれていました。『いつかまた、必ず』というトムラウシを思う宮下さんの熱い思いがひしひしと伝わってくるこの作品。私たちは日々の暮らしの中で知らず知らずのうちに余裕を失っているように思います。それは、便利さと引き換えに失ったものと言えるかもしれません。人が人である時間、便利さと引き換えにしない、人らしい生き方を感じながら生きる時間の素晴らしさ、そんなものをこの作品は垣間見せてくれたように思いました。2022/10/08
Nao Funasoko
190
著者には6,7年前に一度お会いしたことがある。聡明さを"ほわん"とした雰囲気で包んでいる家庭的な柔らかさを持つ女性だなあとの印象を受けたのを今でも覚えている。本作はその宮下一家(ご夫妻、長男、次男、長女)が北海道のど真ん中へ山村留学した1年間の生活にまつわるエッセイ。楽しい、可笑しい、羨ましい。ちょっとした勇気があれば、子どもはもちろん大人だっていつだって成長できるんだろうなとそのちょっとしか勇気がなくて踏み出せない自分が悲しい。 とにかくタイトル同様素敵な一冊になっているので皆さんにお勧めしたい。2017/07/23
まさ
172
宮下さんファミリーってなんて素敵なのでしょう!前のめりぎみに楽しもうとする姿勢があると日々がきっとこんな感じになるのだろうなぁ。 トムラウシから福井に移ってからの身近に感じる発見もまたよし。とても良い"感覚"をいただいた気分です。2017/12/22
おかむー
167
文庫化されたので約2年ぶりの再読。トムラウシでの生活から二年後の「それから」と、あとがきでさらに一年後の様子にも触れられていてちょっぴり嬉しい。初読でもトムラウシの暮らしと家族のおとぼけに突っ込む著者の様子が実に可笑しく微笑ましかったものですが、再読の今回はそんなユルさのなか田舎暮らしへの憧れだけでなく僻地の現実や子供たちの境遇の厳しさなど、やるせなさや切なさがふいに差し込まれるその落差についつい目が潤みますね。一軒きりの本屋さんに『鋼と羊の森』が置かれたくだりとか胸熱です。『絶品よくできました』2017/07/30
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