出版社内容情報
田舎町の小さな駅のホームにあらわれる制服姿の少女。心の奥に隠した本当の声とは…。青春の残酷さと美しさを描いた傑作!
内容説明
駅のホームの端に立ち、風にスカートを翻す少女。彼女は、まっすぐにこちらを見ていた―。喧嘩した親友に転校を告げぬまま夏休みを迎えてしまった少年。地味な同級生がバンドをやっていると聞き、心がざわつく女子高生。様々な思いを抱える人の前に少女は現れ、心の奥に隠した本当の声を聞く。青春の記憶を紡ぐ物語の先に驚きと感動のラストが待つ、六篇の傑作。
著者等紹介
水沢秋生[ミズサワアキオ]
兵庫県生まれ。出版社勤務などを経てフリーライターに。2012年、第7回新潮エンターテインメント大賞を受賞した『ゴールデンラッキービートルの伝説』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
93
★★★★☆22113【プラットホームの彼女 (水沢 秋生さん)k】本作品の一編をKindle化した『始発電車の彼女~』を読んだら続きが気になって入手。展開に大きな起伏があるわけではないのですが読み終わったときにじんわりと心になにかが静かに響くお話でした。なるほど、プラットホームの彼女はそういうことだったんですか。いつかまたもう一度、ゆっくり時間をかけて読み返してみたいと思えるいい作品でした。この作家さんの他の作品も読んでみたいと調べたら『ゴールデンラッキービートルの伝説 』読んでました。それも良作でした。2022/12/11
へくとぱすかる
80
ひたすら哀しく、そして美しい。人の生死は不条理に満ちているが、むろん一人ずつの思いは尽きないもの。6つのエピソードそれぞれの重みを感じながらも、文章の美しさにも惑わされる。短編集を装いながらも、それぞれのエピソードが時間を超えてつながっていく連作。何も表題のない最初の2ページから思えば、これは一人の哀しい少女を進行役とした長編なのかもしれない。2018/09/11
H!deking
75
水沢先生の作品は #記念日にショートショートを の作品は全部読ませて頂いておりますが、毎回ツボをえぐってくるので初めて文庫を手に取りました。お盆の頃に寂れた駅に現れるオレンジのリボンの髪飾りを着けた、不思議な彼女にまつわる連作短編集。いやこれ面白かったです!文章が読みやすいのもあるけど、結末が気になって一気読みでした。もうちょい若い頃に読みたかったな~!あ、そうだ、娘が読書感想文の本迷ってたからこれ読ませよう!73冊目2018/08/09
itoko♪
74
素敵な作品と出会えました。前作『わたしたちの小さな家』では、私の読解力の無さゆえに置いてけぼりをくらいましたが、この作品はとても切ないミステリーでした。各章毎の主人公が駅で出会う、高校生の女の子。彼女とのやり取りから、主人公たちは大切なことに気付かされます。でも彼女は…。これは、人と人との絆を再認識させてくれる作品でもあると感じました。まだ登録が少ないけれど、たくさんの方に手に取ってもらいたいと思います。2017/06/22
dr2006
64
とても良かった。ライトな読み口だけど心の深淵に届く作品だと思う。あの時違う行動をしていたら…と後悔を抱えた人々が前向きに生きようとする瞬間を描く。暮れなずむ郊外の駅のプラッホームに佇む彼女は、ポニーテールにオレンジ色のリボンが良く似合う。彼女と出逢った様々な年代の主人公は、何故か不安や迷いを言い当てられてしまう。辛い事に襲われているのに朗らかに振る舞えるのは、最初から強さと機転を持っている人とか、成功者という訳じゃない。きっともっと酷い後悔や辛さを経験してるからだろう。立ち止まり振り返りそして、前を向く。2021/02/17
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