出版社内容情報
葉真中顕[ハマナカ アキ]
内容説明
マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!
著者等紹介
葉真中顕[ハマナカアキ]
1976年東京生まれ。2012年介護問題をテーマとした『ロスト・ケア』にて第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー。刊行時から大きな反響を呼ぶ。受賞後第1作となる『絶叫』は吉川英治文学新人賞や日本推理作家協会賞を候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
501
葉真中顕は、新作中心に読んでいる作家です。今回文庫化された未読の本作を図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。負の連鎖女の幸せの呪いの物語、600P強一気読みしました。著者の代表作だけあり、全編に『絶叫』が感じられました!2017/05/13
三代目 びあだいまおう
399
やはり恐るべし葉真中顕。ロストケアではまり、600頁の本作も一気怒涛。死後半年程、マンションで見つかった女性は見るも無惨な状態!別に見つかった遺体はNPO法人の代表者で、通報した謎の女性が現場から消えた!この、全く繋がらない2つの遺体を捜査していくとどこか不穏な匂いがって話。核の人物は陽子、ページを括る度不幸へと堕ちてゆく姿はリアルで悲惨。私は2つの視点で読む。つまり『誰』の絶叫なのか?そして陽子をあなたと呼ぶ人物は『誰』か?細かな全ての伏線が絡み出し、やがてくる結末の畏怖はあなたの度肝をブチ抜く‼️🙇2019/03/27
yoshida
286
生きることは選択を積み重ねることだ。その時に最良と思う選択をし結果の責任をとる。私は主人公の陽子と同年代だ。生きていると過去の選択を悔やみ、追った責任と結果に途方に暮れることがある。しかし、陽子の人生はあまりに劇的だ。社会に出る迄が比較的平凡か。父の失踪と愛されなかった経験、そして選択をする際の無知や安易さで転落する。目を覆いたくなるほど。その苦界から脱する為に陽子のとる行動も、陽子の苦界から得たものだ。母の前で絶叫する陽子。それは生きる陽子の溢れだす絶叫。深い業による陽子の新たな生に気づき私は戦慄した。2017/08/27
🅼🆈½ ユニス™
261
面白かった。読み終えるまで一度たりとも笑みが浮かばない小説だった。しかし、しっかりと貪り読ませる。平凡な一人の女性がちょっとした不運が重なる事で堕ちる過程はリアル過ぎて鳥肌レベル。想像させ、ノンフィクションの如く錯覚させる。‘あなたは…’ の二人称で始まり、‘あなたは…’の二人称で終わる、今年一番衝撃的なヒューマンミステリードラマになるのではないか…思われる圧巻の“イヤミス”の一冊だった❗️2018/07/11
イアン
239
★★★★★★★★★★節目の350冊目は葉真中顕の代表作。マンションの一室で発見された女性の腐乱死体。国分寺署の綾乃は捜査を進める中で、その女性・鈴木陽子の戸籍に不審な点があることに気付き…。同時期に発生したNPO理事殺害との関連は?そして神の如き視点から陽子を〝あなた〟と呼ぶ者の正体とは?平凡に生きたかった女の人生譚としての面白さもさることながら、彼女が手を染める犯罪のリアリティ、読者をも欺く驚愕のトリックと伏線に思わず舌を巻く。読み終えた今は、この作品に触発された完全犯罪が横行していないことをただ願う。2023/01/21