出版社内容情報
松本清張[マツモト セイチョウ]
内容説明
若い芸術家の憧れの的である美貌の人妻・竜崎亜矢子。彼女は夫・重隆との愛なき結婚に苦しむ“名家の囚人”であった。カメラマンの奈津井久夫は亜矢子に惹かれながらも見合い結婚をした。取材で出向いた青森県十三潟で男の死体に遭遇した奈津井は、その写真で脚光を浴びる。亜矢子への憧憬をカメラに託す奈津井だが、彼女は新聞社勤務の久世俊介と…。彷徨う愛の行方は!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@ヴィタリにゃん
56
美貌の人妻・亜矢子に惹かれながら亜矢子から紹介された千佳子という女性と何となく結婚してしまう名津井。テンポのよい展開でとても面白かったです。下巻に更に期待!!!2021/01/26
いづむ
13
殺人ミステリーではなく、複雑な恋愛模様を描く清張作品。黙ってお互い意地悪く観察し合いながら時に意味不明の行動をしかける登場人物たちの駆け引きにじわじわくる。平静を装いつつ心中穏やかでない様子、それに呼応するような情景描写、荒廃しながらもどこか一点に情念が宿るような全体を貫くトーンがいい。続けて下巻へ。2023/02/15
ランラン
7
清張の恋愛ものを読むのは2作目になるが女性の心理をとらえる鋭さは著者がどこから得たものなのか?結末がどうなるのか考えながら読んでいるがどんどん引き込まれていく。2020/12/17
y_e_d
2
松本清張の作品には、殺人事件のない人間関係のもつれだけに焦点を当てた作品が幾つかあるが、これもそのひとつ。奈津井久夫・千佳子、竜崎重隆・亜矢子という崩壊した2組の夫婦に久世という5人の暗い人間模様。雰囲気を掻き立てる作者の筆致。久夫が謎めいた人物かと思いきや、進むにつれ子供っぽくなってくるのが妙に印象深い。ストーリーに波立ちは少ないが、やはり流石と思う。あっと言う間に読了で下巻へ。2018/03/12
ゆめの
1
死体を発見するからミステリかと思ったら恋愛小説だった2025/05/08