出版社内容情報
昭和の日常の食べものや食卓の情景を通して浮びあがる人生の機微。洗練された軽妙な筆が人生の粋をさらりと描き出す。
内容説明
17の忘れえぬ料理、追憶の日々―直木賞作家の洗練された筆致が、極上の美味と人生の機微を紡ぐ掌編集。
著者等紹介
神吉拓郎[カンキタクロウ]
1928年東京生まれ。1983年『私生活』で直木賞、’84年『たべもの芳名録』で第1回グルメ文学賞を受賞。’94年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
126
単行本にて読了。一編一編の短い文章の中に、美味しさと懐かしさがギュッと詰まった極短編集。2016/04/19
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
123
メインディッシュは『追憶』。季節で言えば人生の秋を生きる男女の邂逅と交流を穏やかに描く17篇の物語。直木賞作家で第一回グルメ文学賞を受賞した神吉拓郎氏の筆による料理の描写が見事。忘れられない味が舌を刺激し、過ぎ去った時が鮮やかに現れる。洋食セーヌ軒の牡蠣フライは、香ばしいラードの匂いとウスターソースが渾然と溶け合った極上の一品。受け継がれる魔法のレシピとおもてなしの心。豪華な料理が出てくる話ばかりではない。石炭ストーブで温めたノリ弁とシャケ弁が最高のご馳走という事もある。甘酸っぱい想い出はプライスレス♪2016/04/26
しんごろ
109
料理を通した人間模様の掌編集!デート、友人と遊ぶ、独りで遊ぶ、会社のつきあい、接待、そこには必ず料理を食べる機会があり、料理を通して出会い、別れ、発見もあるのではということを教えてくれる物語でした(^^)料理も寿司、牡蠣フライ、オムレツなどごくありふれた料理ばかり!どの話も良かったです(^^)表題作はもちろん、『アルミの箸』、『オムレツ』、『鮨』、『春愁の町』が個人的に好き!(^^)BGMには奥華子の『good-bye』なんかどうでしょう(^^)昭和の良さを感じるなかなかの作品です(^o^)2016/03/13
ばう
69
★★★お寿司屋さん、洋食屋、ケーキ、そして家庭料理まで様々な料理が登場するが料理がメインの話ではなく、ストーリーに絡んでいるだけ。お話自体は特に大きな事件が起こる訳でも無く静かに登場人物たちの人生が描き出されていくだけなのだけれどとても素敵な文章で気持ちの良い読後感です。そして何と言っても食べ物の描写が秀逸で食がメインの話では無いのだけれどグルメ小説と言って良いのでは?と思う位です。鮨も牡蠣フライも珈琲も海苔弁でさえも本当に美味しそうでたまりません。一編一編はとても短い話なので移動中の読書に最適です。2016/07/22
papako
65
readerストアで見かけて。なんと1987年ものでした!食べ物や食べることにまつわる短篇集。短篇の中でも短いものです。ちょっと古さを感じさせられる文章なので、素直に面白かった!とは言えないかな。でも、食べるってすごく素敵だなぁ、色っぽいことだなぁと思いました。2018/01/25