出版社内容情報
古書とそれにまつわる人々の数奇なドラマを集めたミステリーアンソロジー3巻目。
内容説明
本好きの間では、骨董的価値の高い本を古書、そうでないセコハンのものを古本と呼び分けたりもしますが、本書では個人蔵書、貸本等も含め、新刊書店で売られている以外の書籍を“古書”と称しました。ひとたび指紋のついた本には、往々にドラマがつきまとい、ミステリアスな雰囲気を醸します。そんな謎に充ちた傑作ばかりを収めた好評の推理アンソロジー第三集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
72
シリーズ3冊目でこれで打ちきりだそうです。この中には宮部みゆきさんの「のっぽのドロレス」という作品が入っていて、紀田さんの「書物愛」にも宮部さん登場なのですが作品が異なっています。結構本にまつわるミステリーを書かれているのですね。こちらのほうは、山本一力、五木寛之、小沼丹、北村薫など私の好みの作者が結構入っていて楽しめました。江戸川乱歩の口絵もご愛嬌ですが、「D坂の殺人事件(草稿版)」も収めれています。楽しめました。2015/06/15
たち
37
キリスト教徒にとっての凱旋の意味が意外だった、北村薫さんの『凱旋』と、ワクワクするような宝探しが楽しかった、野村胡堂さんの『紅唐紙』が面白かったです。江戸川乱歩さんの『D坂の殺人事件』は、かつて読みましたが又、読みたくなりました。2020/11/28
ぶんぶん
18
【再々読】やっぱり読んでいました、古い本だから(2015年)もしかしてと思いましたが・・・でも、読メ登録するまで気が付かずまるまる一冊読んでしまった。 新たに本を開くと言う事は新しい気持ちになるものでしょうね。 再び「小沼 丹」に会ったり、「五木寛之」に感動する。 再読もなかなか宜しいものですね。 この本はバラエティに富んでいてお得な一冊かと思います。 前出の作家はもとより「宮部みゆき」「北村 薫」「曽野綾子」「野村胡堂」「江戸川乱歩」など盛り沢山。 一回読んでも又面白い。2020/10/17
三平
16
宮部みゆきによる古書店が舞台のミステリ『淋しい狩人』の続編『のっぽのドロレス』が収録されていたのが嬉しい驚き。シリーズ本編の単行本・文庫にも未収録の作品だが、心に突き刺さる中々の出来。内容はイヤミスの方向になりそうな苦いものなのに、優しい読後感。著者の筆力に改めて惚れ込んだ。 他には書痴らしいトリックを盛り込んだ『緑の扉は危険』(法月綸太郎)、背筋が凍る『長く暗い冬』(曽野綾子)が良かった。 これってミステリ?というのも混ざっていたけど、中々楽しめるアンソロジーだった。2016/09/05
ぶんぶん
16
【図書館】 古書にまつわるミステリーも三巻目、これでシリーズ最終巻。 やはり、本好きとしては目が離せませんね。 人の手に渡る回数が多い程謎は深まる、そこにはいろいろな状況があり、エピソードが重なる。 本を読む人は内容だけでなく、その辺りを気にしてしまうのでは。 宮部みゆき「のっぽのドロレス」を読めただけでも最高。 あと、曽野綾子「長い暗い冬」は怖い。2015/06/03