出版社内容情報
<今宵、汝の娘は一人、水に浮かびて殺さるべし>の予言で殺人が。神津恭介作品ドラマ化第2弾の放映を前に、新装版を刊行!
内容説明
“今宵、汝の娘は一人、水に浮かびて殺さるべし”紅霊教教祖の孫娘は、湯槽の中で血まみれとなって殺され、予言は的中する。だがそれは、呪われた一族に襲い来る悲劇の序章に過ぎなかった…。教祖を大伯父に持つ旧友の鬼気迫る依頼で、教団本部に出向いた松下研三だったが、ついに神津恭介に救援を求めた。名探偵は、恐るべき凶事の連鎖を止めることができるのか!?
著者等紹介
高木彬光[タカギアキミツ]
1920年青森県生まれ。京大工学部卒。’48年に江戸川乱歩の推薦による『刺青殺人事件』でデビュー。’49年『能面殺人事件』で探偵作家クラブ賞を受賞。’95年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
234
★★★☆☆ 神津シリーズ第2作目。 落ちぶれた新興宗教の教祖一家の中で巻き起こる連続殺人事件に神津が挑む。 今作での神津は『刺青殺人事件』での天才ぶりが嘘のように犯人に翻弄される。その様は同時期の名探偵金田一耕助のようである。 その後、読者の挑戦状では読者を煽るきつい文言付きでヒントが提示される。とりあえず二回目の挑戦状で犯人は分かった。また、共犯者についてはその前から分かっていた。 ただし、澄子の殺害方法については大外し…これ分かる人いるの?もうちょっとそれらしい手がかりを示して欲しいところである。2021/01/09
セウテス
92
神津恭介シリーズ第2弾。〔再読〕一時期脚光を浴びていたが、その勢いも無くなった宗教団体の家で起こる連続殺人事件。江戸川乱歩先生を筆頭に、この引き込まれてしまう作風を、私は劇画風ミステリと呼んでいる。頭の中に劇画が浮かぶからだが、おかげで読みやすく解りやすい。ただし令和の現在では死因の特定がなされて、第1の殺人で犯行の謎を簡単に推理出来てしまうかも知れない。よって、昭和20年代に心を馳せ読んで欲しい。幾つかのトリックの連続と、後半の一筋縄では行かない展開はやはり面白い。宗教への考察も、価値在る一文だと思う。2019/05/27
HANA
51
「白蟻」や「怪異馬霊教」等、落魄した新宗教を題材にしたミステリは数多いが、そのどれもが独特の退廃したような雰囲気を纏っている。本書もその例に漏れず、独特の空気が全体を支配している。予言通りの殺人も『黒死館殺人事件』を連想させるし。ただ本書はあくまで本格ミステリ。呪われた予言も新宗教も全てが事件及びトリックを成立させるための小道具として機能しているのが、前者らと異なるのではないかなとも思う。読者への挑戦状が入っている点も大時代でまた良し。ただ第一の事件はヒントの出し方でちょっとアンフェアじゃないのかなあ。2015/08/13
yucchi
41
結構早い段階で神津恭介が登場するのだが、今作は犯人の方が上手な印象を受ける。実際、恭介が事件に関わってから何人も殺されてるしね。『刺青殺人事件』といい今回といい、高木氏は日本家屋のお風呂での密室殺人お好きなようです。晩年の安楽椅子探偵状態の作品よりは面白く読めたけど、印象には残りづらいといったところかな。2016/11/23
本木英朗
33
神津恭介第3長編が、この作品である。俺は当然、今回が初めてである。〈今宵、汝の娘は一人、水に浮かびて殺される〉 紅霊教の教祖の孫娘は、湯船の中で血まみれとなって殺され、予言は的中する。だがそれは、呪われた一族に襲い来る悲劇の序章に過ぎなかった。教祖を大伯父に持つ旧友の鬼気迫る依頼で、教団本部に出向いた松下だったが、すいに神津恭介に救援を求めた……という話である。最後の最後まで分かんなかったなあ、真犯人はね。犯人はまあ分かったけれどもさあ。うーん、なるほど。またいつか読もう。2019/11/21
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