内容説明
名探偵・金田一耕助の初登場作となる『本陣殺人事件』は、終戦からおよそ半年後、「宝石」創刊号に掲載された。それは戦時下に抑圧されていた探偵小説の大ブームが巻き起こる契機となり、雨後の筍のように刊行された探偵小説誌をきら星のごとき名探偵が彩った。本書はミステリー文学資料館の膨大な蔵書より、そんな探偵たちの切れ味鋭い名推理を厳選した傑作集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
45
ミステリアンソロジー。戦後すぐの作品が集められているが、忘れ去られたのも無理はないという作品が多い。登山の情景は好きなんだけど、探偵が傍観者に徹していて事件の解決に何ら関与していない作品とか、偶然手に入れた一つの証拠に頼りすぎとか。そんな中面白く思ったのは大坪砂男の「三月十三日午前二時」と飛鳥高の「犠牲者」。前者は独特の異常心理とそれが巻き起こす因縁、以上に巧緻なトリックが目を引くし、後者は後発の類似トリックの原点みたいな作品。それにしてもこの時期の作品群、良きにしろ悪きにしろ独特な味があっていいなあ。2014/12/17
エチゴヤ
4
駅のキオスクで購入。たまにはこういうのもいい。2014/12/16
都人
3
大坪砂男の「三月十三日午前二時」を読みたくて、このアンソロジーを読み始めた。「米澤屋書店」で激賞されていたからである。七偏の短編推理小説からなっているが、何れも発刊が昭和二十年代の前半であり、古色蒼然と言う印象は否めない。今回も「激賞」の理由が解らなかった。2022/03/25
うさ丸
3
☆☆☆戦後まもなく発表されたストーリーばかり集めたオムニバス。ただひとつだけ戦前に書かれた作品がありますね。樺太がまだ日本の占領地だった頃の話が出てきます
longscale
1
「小栗虫太郎のフォロワー」と聞き齧った岡村雄輔が目当てだったのだが、本書に収録された「うるっぷ草の秘密」にあのジャンク満載感はない。登場人物の愛憎を次々と明らかにしていくプロットは伏線に乏しくて、唐突さには全くついていけず。しかも死んだはずのヒロイン?が生きていたのは、要するに愛の力?だったりする……。一冊を通じて時代の流れを感じた。現在とは読者の要求水準が全く異なっていたのに違いない。舞台設定が古臭いのは十分に覚悟していたけれど、完成度の面でも物足りなかった。逆説的に乱歩や横溝のうまさを改めて認識する。2021/04/09
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