内容説明
宮澤賢治は、親友の女学校教師・藤原嘉藤治から不思議な話を聞く。教え子の父親が、電信柱が歩くのを見たというのだ。まるで、賢治が書いた童話「月夜のでんしんばしら」のように。さらに教え子自身も川を流れる河童を目撃していた。現場を検分した賢治は、驚くべき推理を繰り広げるのだった。心優しき詩人が、数々の怪事件を鮮やかに解き明かす、新シリーズ始動!文庫書下ろし&オリジナル。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年京都市生まれ。佛教大学文学部国文学科卒業。出版会社、広告代理店などを経てフリーのコピーライターに。2006年『新・本格推理06』(光文社文庫)に「マコトノ草ノ種マケリ」掲載。同年、『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞し、本格デビューを遂げた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
107
電信柱が歩いた?賢治童話そのままのミステリーを解き明かす1話目と違い、2話からは本格推理。インバネスを羽織ってルーペを持ち歩く賢治の姿は、確かにホームズのようだ。天文、鉱石、音楽、農業、宗教などの知識を活かして見事な探偵ぶり。ちょっと変わり者だけど人懐っこい天才・宮澤賢治という人物像がとても魅力的に描かれている。実在の事物や時系列を丹念に組み立てて練られているようで、賢治ファンとしてはとても嬉しい作品だ。2017/09/24
へくとぱすかる
85
まったく予定も作為もない、偶然の配剤に自分で驚いている。前の本「チェロと宮沢賢治」は賢治と嘉藤治をメインにした本だったが、その二人が登場人物として活動するのだから、実に興味深く、そして速く読めた。探偵とワトソン役とは、また思い切った設定だが、現実の賢治も作中のように、明るく活動的だったのだそうで、事件以外は年譜にかなり忠実だというのが驚き。2冊目も読みたい。2016/10/09
まこみん
63
宮沢賢治が親友の藤原嘉藤治と共に、身近で見聞した難事件を推理して解明していく話。大正11年という時代と、岩手の花巻の雰囲気が、幻想的で哀愁を持って描かれ、登場人物の訛りがあたかも映像を観ている様にリアルな感じ。。中にはびっくりする程大掛かりなトリックもある。(図解が有ってよかった)村の貧困の厳しい現実、人の悪意と善意の表裏一体の真意。探偵ケンジは人を弾劾する事なく、深い信仰心と共に寄り添う。続巻も。2020/09/22
かめりあうさぎ
45
初読み作家さん。面白かったです。あの宮沢賢治が探偵役に!キャラ設定になんの違和感もありませんでした。彼が実際に得意な分野が謎解きに活かされていて、彼の本を読むと感じる彼の優しさや繊細な部分もすごく伝わってきて。事件の方は、犯人当てはそれほど難しくはなかったですが、トリックはかなり凝っている印象。意外な路線でした。ミステリ好きも宮沢賢治好きも楽しめる一冊だと思いました。シリーズになってるので次作も読みたい。2019/03/10
ダイ@2019.11.2~一時休止
43
宮澤賢治が主役の連作短編集。読みにくい表現もあるが面白かった。シリーズ化されるようですが、このキャラと時代背景であれば日常の謎だけをやったほうがいい気がする。2014/06/12
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