内容説明
人をイラつかせる無神経な言動と、いいかげんに展開する華麗な(?)推理。鵜飼杜夫は、烏賊川市でも知る人ぞ知る自称「街いちばんの探偵」だ。身体だけは丈夫な助手の戸村流平とともに、奇妙奇天烈な事件解決へと、愛車ルノーを走らせる。ふんだんに詰め込まれたギャグと、あっと驚く謎解きの数々。読めば読むほどクセになる「烏賊川市シリーズ」初の短編集。
著者等紹介
東川篤哉[ヒガシガワトクヤ]
1968年広島県尾道生まれ。岡山大学法学部卒。’96年から公募アンソロジー『本格推理』『新・本格推理』に短編を発表。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」第1弾に選ばれた『密室の鍵貸します』で、本格デビューを果たす。’11年には『謎解きはディナーのあとで』が第8回本屋大賞に選ばれ、大ベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
82
【烏賊川市シリーズ】短編集。「藤枝邸の完全なる密室」は、東川氏のユーモアミステリでなければ、成り立たないだろう。完全な密室が、別の密室が成り立つ事により犯人特定に繋がる、なんという発想の素晴らしさだ。「七つのビールケースの問題」も、ビールケース盗難から意外なオチへの導き方はたまらない。ビールケースを探して、一つ一つ当時間帯に起こっていた謎を、推理していく展開も大好きだ。ラストの「宝石泥棒と母の悲しみ」は、いつもの東川作品と趣の異なる切なさに驚いた。見事なミスリードで、しっかりミステリしてるのはいつも通り。2021/11/02
るーしあ
79
烏賊川市シリーズは東川篤哉作品の中では最も安定感のある、外さないシリーズ。今作は短編集なので読み応えという面では他作品に劣るかもしれない。しかし各短編の内容はなかなかのレベルに達している。作者特有のバカミスがふんだんに炸裂する。そんな中「宝石泥棒と母の悲しみ」が一番の好み。ラストを綺麗に飾ってくれる。いい作品を読んだなぁ という余韻にふけることができる名作だ。でもやはりこのシリーズ、長編を読みたい。シリーズお馴染みの登場人物が鵜飼と流平の2人だけというのも寂しいもの。砂川や朱美の出番が欲しい。2014/02/03
猿吉君
78
烏賊川市6作目、短編集なのでどんなトリックなのかを楽しむのがメインです。①鵜飼探偵が割と最初の方から犯人に絡んできます、非常にいやらしくて犯人が可哀想(笑) ②流平君はやられキャラなので出てくると酷い目に遭うな、と判ってしまいます。段々エッチ度が高くなっているような。③謎解きシリーズよりは1話が長いのが良いです。 点数:80/100→東川先生の短編は面白くてサクッと読めて通勤電車の最高のお供です、でも長編で登場人物のその後の展開とかも知りたいです。 2022/10/25
りゅう☆
72
「藤枝邸の完全なる密室」で叔父を殺したと思ったのに… / 「時速四十キロの密室」殺人で流平犯人疑惑? / 「七つのビールケースの問題 」に酔っ払い事件も繋がる?/ 「雀の森の異様な夜」に誰も座ってない車椅子を押してたのは? / ペットたちの会話が可愛い「宝石泥棒と母の悲しみ」。軽トラにぶつかって投げ出されたり、階段から転げ落ちたり、テロリストが細菌兵器を使用して自衛隊が出動だの、崖から海に真っ逆さまに落ちたり、動物レベルと認識され動物を動揺させたり。不死身でお惚けで笑えるけど実は名探偵。事件解決は天晴れ。2025/03/17
Rin
72
【図書館】今回は短編集。途中というか、後半から怪しいぞ…と思いながら当てることのできた「宝石泥棒と母の悲しみ」。切ないなかにも微笑ましさがあった。登場人物の逞しさ、頑丈さを痛感したのは「7つのビールケース」。「時速40キロの密室」は、ハラハラわくわくの面白さがつまっていた。どれもユーモアたっぷり。どの話も名探偵とはいえないんだけど、しっかり事件が解決。残念なのはいつもの刑事さんたちとのやり取りがみれなかったこと。でも人間離れしているタフさをもつ師弟の探偵に、楽しく息抜きができた読書タイムでした。2017/06/06