内容説明
大きらいな幼なじみに、なぜだかときめくカンナ。教室で浮いた存在の不良にあこがれる和馬。親友の家庭事情を知った千里。音楽教師に心を寄せる哲平。母の愛人に恋する愛。クラスメートの死を受け止める三人の男の子。さまざまな状況に、真っ直ぐ本音でぶつかっていく子供たち。大人になって失ってしまった感覚を、鋭く冷静な視点で浮かび上がらせる六編。
著者等紹介
有吉玉青[アリヨシタマオ]
1963年、東京都生まれ。ニューヨーク大学大学院演劇学科修了。’90年に母・佐和子との日々を綴った『身がわり』で坪田譲治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coco夏ko10角
26
6つのお話収録の短編集。いい作品ばかり。有吉玉青さん、大人主人公より子供主人公の作品の方が好きだな。特によかったのは『悪い友だち』と『シュルッセル』大人になる、ということ…2016/05/11
かつやん
24
子供の心情を描いた複雑な思いを描いていて中々面白い。 「イン・ザ・ペイスメント」気付かない想いねー。 「悪い友達」こんな奴ら、いたいた笑 「一心同体」少女の憧れは同性にもあるんだなー。 「シッルセッル」先生に対する憧れ。 「ママンの恋人」不倫のなりの果て、犠牲は子供。 「ぼくたちはきっとすごい大人になる」なるほど、この短編が面白い。 この子達は、日本では変わった大人になるうけど有望かもね。2018/10/25
katsubek
23
短篇集。どの作も、一つ一つ考えこませる。特に、最後にある表題作がいい。そう、大人は子どもを見くびってはならない。子どものころを思い出してみたい感覚がある。なかなかいいではないか!2015/12/08
うめ
20
この本が読めて良かった。どのお話も瑞々しさに溢れていて、出てくる子がみんな愛おしくなる。10歳って、幼いようで、だけれども、限られた小さな世界の中できちんと色々考えてる。出来ることは少なくても、自分の気持ちを持て余しても、斜に構える事すら真剣で。大人になるという事は、汚れていく事。それもある意味真実だけれども、汚れてしまった魂でさえ、いつかはきっと愛おしくなるのだろう。人は良くも悪くも変わりゆく。あの頃みたいな真剣さや、新鮮な驚きは喪われてしまったかもしれないけれど、それでも変わりゆける自分を誇りに思う。2015/08/11
suite
13
最後の男子3人のお話が好き。2016/01/29