内容説明
毒を啖うて死なば本望と心得よ―将軍家の毒味役を務める矢背蔵人介の目の前で、老中水野越前守忠邦の駕篭が襲われた。手練の刺客の前に立ち塞がった蔵人介は、そのことで恨みをかうことになる。そして、蔵人介にも危機が迫る!「誇りさえあれば、虚しいことなどひとつもない」という思いを胸に蔵人介は悪に立ち向かう。大好評「鬼役」シリーズ、爽快感抜群の第九弾。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
95
今回も長編ではなく、短編の話が3つ収められています。甲州金や八王子千人同心などのはなしがでてきます。また水野老中子飼いの同心の鳥居耀蔵(いわゆる妖怪といわれていましたが)も出てきます。久しぶりに居候の宗次郎も出てきます。相も変わらず義母が強く、主人公の息子に稽古をつけているようです。2024/06/19
はつばあば
66
大儀であった・・と云う立派な上役もおらず、自己判断で悪を屠る蔵人介。右近の爺様もちょっと引っ込み気味であるのに対し、志乃さんと幸恵さんの大胆な事!さすが鬼役の義母と嫁よ。赤穂浪士の討ち入りに対し無刀で対峙した八王子千人同心・・裏で手引きしたのは勿論その女傑達。バッサバッサと悪を切り倒すカッコ良さ、居候宗次郎は鬼役の養子となるか・・2017/01/22
えみ
54
人として生きるだけならば、そんな大層なものはいらないのかもしれない。けれど、人としてあり続けたいのであれば、人として守るべきであり、また人として行うべき正しく最も大切な道である「大義」が必要だ。将軍家毒味役・矢背蔵人介が表で裁けない悪党を、裏の顔・暗殺御用として成敗する時代小説、シリーズ第9弾。今回もまた期待に応えてバッサバッサ悪を斬り倒す。シリーズ化も長くなると金太郎飴になり、飽きてしまいそうだと憂慮していたが、全くの杞憂に終わった。非情と慈悲のせめぎ合い、温厚な気持ちが冷血な剣を振るう。爽快で切ない。2024/03/09
とし
33
鬼役シリーズ「大義」9巻。橘右近の密命を受けず、義憤を感じ矢背蔵人介自ら悪に立ち向かう、ますます面白く次巻も楽しみ。2013/12/22
さく
23
悪の人がいて、市井の人々を翻弄し、苦しめる。八王子千人同心の誇りは涙が出た。仇討ちを堂々と果たして、天命を待つ姿。奇跡が起こり、民衆が味方に。理不尽が降りかかった時に、耐える、立ち上がる。これまでの生き様で判断するしかない。宗次郎の出生の秘密を受け止めた志乃。志乃の大きな優しさに蔵人介は感じ入り、深く敬う。素晴らしい場面でした。2021/08/29
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