内容説明
時枝修は、東京郊外にある私立大学の三年生。夏休み明けにクラス担任から告げられたのは、学費未納で除籍になるという寝耳に水の事実だった。北九州の実家では、借金を抱えた両親が失踪。貯金はないに等しい。アルバイトを転々とする中、家賃滞納で住居も追い出されてしまう。追いつめられる修。だが、それはまだ、底なしの貧困と孤独への入口に過ぎなかった―。
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
1962年福岡県生まれ。2000年、『幻日』(文庫版では『再生ボタン』と改題)でデビュー。磨き上げられた端正な文体で綴られた数々の作品で、ホラー作家としての確固とした地位を築く。アウトロー小説の書き手としての評価も高く、’08年には『すじぼり』で第10回大藪春彦賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mr.lupin
66
両親失踪により仕送りも途絶え大学の学費も未納のまま除籍されてしまった主人公の時枝修。そしてお金も殆んどないまま今度は家賃滞納でマンションからも追い出されてしまう。そこから始まる転落人生。修の運の悪さもあるのだろうが、もう少し自分を振り返ってしっかりしないとって人の事は言えないけど(笑) この先、修は一体どうなるのか?這い上がる事ができるのか? 下巻に続く。 ☆☆☆☆☆2018/12/16
GAKU
64
東京郊外の三流大学の3年生修は、実家の両親が借金を抱え行方不明。学費滞納で大学は除籍。家賃滞納でアパートも追い出される。貯金なし、ネットカフェを転々、日払いバイトも続かず一文無し。格差社会と言われている今、一歩道を踏み間違えるとこのような状況になり兼ねないかもしれないが、それにしても主人公の修君考え方も行動も甘すぎるな。上巻の最後で新宿歌舞伎町のホストクラブに転がり込むが、到底ホスト勤めも無理だろう。引き続き下巻へ。 2020/06/19
はつばあば
61
この子甘いわ!と思ったけれどホント大変だ。お金が無い、家が無い、親も行方不明・・親戚は無いのだろうか。人生が壊れるなんて一瞬のもの。それは専業主婦にも当てはまる。亭主が病気になったり失業で・・なんて、ある日突然の宣告。我が家も子供達がそれぞれの地で大学生活を送っているのに爺様が倒れ・・どうしようと悩んだものだ。ほんとうに恐かった。2015/11/10
TAKA
58
この主人公があまりにも情けなさすぎて同情もできないクズっぷりが読ませどころですね。悪の連鎖が続くのも絶ちきるのも自分次第。自業自得といえばそうなるけどまあ親の失踪までは責任がないといえばないけど。さすがに銃刀法違反はやりすぎでしょう、警察ってそこまでするのかって思うんですけど。この先ホストもムリそうだしどこまで転落してどこで歯止めがかかるのか…下巻へ2023/03/07
らむり
54
中江有里さんの書評で「本当に怖い」作品とのことで読んでみた。突然大学を除籍され、両親が失踪、住居からも追い出され、地に堕ちていく修。西村賢太さん作品の貫多?と錯覚してしまうダメダメキャラにはイライラものだけど、今度は何が?と先が気になり終始ワクワク。面白かった!下巻が楽しみ♪2014/08/12