内容説明
眉目秀麗、頭脳明晰、白面の貴公子。輝かしい形容に彩られた名探偵、神津恭介。彼が挑むのは密室トリックの数々。鍵の掛かった部屋の外に残された犯人の足跡、四次元からの殺人を予告する男…。不可解極まる無数の謎を鋭い推理でクールに解き明かす!いつまでも燦然とした魅力を放つ神津恭介のエッセンスを凝縮した六つの短編を収録。傑作セレクション第一弾。
著者等紹介
高木彬光[タカギアキミツ]
1920年青森県生まれ。京大工学部卒。’48年に江戸川乱歩の推薦による『刺青殺人事件』でデビュー。’49年『能面殺人事件』で探偵作家クラブ賞を受賞。’95年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
240
★★★☆☆ 神津恭介シリーズの短編集。 全6作品が収められているが、当たり外れが激しい印象。 挑戦状付きの名作『妖婦の宿』は流石のクオリティだが、真相はある程度容易に看破できる。頭の体操には丁度良いレベルと思う。 もう一つの有名作『影なき女』も中々面白い。こちらは真相がかなり入り組んでいて見破るのは困難だった。 その他ではレッドヘリングが見事な『白雪姫』も良かった。ただし密室トリックは単純で容易に見抜ける。 残りの3作はまぁ暇潰しにはなるという程度の小編。2021/01/15
🐾Yoko Omoto🐾
129
「密室」と呼ばれる不可能犯罪をテーマにした探偵「神津恭介」の六作品からなる短編集。密室の謎自体は解明されてみれば今では目新しくはないトリックが使われていたりもするが、人の先入観や固定概念という心理的盲点を非常に巧みに複合させる合わせ技にレベルの高さを窺わせる。同テーマの短編でこれだけバラエティ豊かに展開できるトリックメイカーぶりにも畏れ入った。眉目秀麗で容姿端麗な名探偵作品にはやはり妖艶又は清楚な、人を惑わせる美しい女性の登場は必須(笑)マイベストは「妖婦の宿」「影なき女」。時代を感じさせない傑作群だ。2014/10/20
セウテス
50
日本三大名探偵の一人、神津恭介が携わった密室ミステリー六編の短編集です。全て〔再読〕になりますが、純粋に犯人の仕掛けたトリックを神津恭介と共に暴いていく、ストーリーの一員となれる作品は何度も読みたくなるものです。巧妙な伏線や大胆なトリック、意外な犯人と本格の基本を踏まえた文章は飽きないものです。雪密室、見えない壁、消失トリック、不可能通過、そして密室の謎を解いた為に動き出す新たな犯罪、どのようなパターンでもトリックを作り上げる、高木彬光氏の器用さとミステリーに対する真摯な思いに、頭が下がります。2014/07/13
koma-inu
44
密室だらけの6短編集。図解がないのでちょっとわかりづらいですが、密室は大した事ありません。短編であるが故に、神津恭介の解決のひらめきの速さが、異常。天才度に磨きがかかってます。ただ、神津恭介、事件を未然に防ぐのが苦手に見えます、犯人を野放しにして、被害者が増える事が多い。イチオシは「妖婦の宿」80ページの短さで読者への挑戦付き。密室+意外な犯人だ!というスタートで始まり期待が高まる。ハードルを上げ過ぎたか、犯人がよめてしまったのが残念。2024/01/18
HANA
43
密室…なんと甘美な響き。本巻には六つの密室が収録されており、内容も雪の密室や人間消失、そして王道の密室殺人までバラエティに富んでいる。一番の出来はやはり「妖婦の宿」。これを最後に持ってきたなら、この作者を始めて読む人でも楽しめるな。今だと類似のトリックを主とした作品いくつか挙げれるけど、当時は斬新なトリックだったんだろうなあ。他にも「影なき女」「月世界の女」の人間消失トリックは楽しめたけど、機械的過ぎたり密室の必然性がなかったりでいくつか乗りきれない作品もあった。しかし眉目秀麗って単語、久しぶりに見た。2013/05/19