内容説明
新進文具メーカー役員の斉木光生は、五年前に入院したとき、末期ガンの患者から不思議な話を聞かされた。和歌山県の山にある桜の巨樹。その根元に三千枚の金貨を埋めたという。「みつけたら、あんたにあげるよ」と言われた記憶が蘇り、会社の仲間の宇都木、川岸の二人に話をするが、別の怪しい男たちも金貨を探していることに気づく。金貨は本当に存在するのか!?四十代の男たちの、心躍る「人生の選択」。生きることを実感する大作。
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年兵庫県神戸市生まれ。’77年『泥の河』で太宰治賞、’78年『螢川』で芥川賞、’87年『優駿』で吉川英治文学賞、2004年『約束の冬』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
105
宮本さんの比較的最近の作品であると思います。ミステリー色が強いのですが、シルクロードを旅した様子も主人公の一人に語らせて他の本で読んでいますが再度楽しめました。文具メーカーの役員である主人公が、病院入院時にある人物から聞いた話すなわち和歌山のあるところにメープルリーフ金貨を三千枚埋めたという話ですが上巻ではあまりそこまで進展しません。どちらかというと主人公の会社の同期の同僚などの家族と看護師であったバーの経営者(金貨の話をした人物とつながりがあります)やコーヒー専門店の経営者などの話が中心です。2024/10/21
Shinji
100
久しぶりの宮本輝さん。裏表紙のあらすじとタイトルから私自身も金貨を探す気満々でした。 ただ、序盤の光生の旅の話に哲学っぽいモノを感じましたね!芹沢由郎の素性が少しずつ明らかになっていき、怪しい雰囲気が増して来ました。上巻ということで人物像の確立に針が振ってある感じですね。 次、下巻にて真相を読んできます!2016/03/15
オカメルナ
55
20年ぶりの宮本作品。優しい文体は変わらずで安心して物語の中に入って行けいる。ドキドキハラハラするような展開ではないが、「三千枚の金貨」が本当に存在するのか気になる。下巻へ・・・2014/01/26
りょうこ
40
長いこと文庫化待ちでした。やっと読めた!内容的にはかなりそそられるあらすじ。登場人物も40代男性だがどこか少年らしさも残してるので会話が微笑ましい。ワクワクしながら下巻に行きます!2013/01/18
とも
36
流石宮本輝さん(同郷なので大先生ながら親しみを込めて)読ませてくれます。…が、全体的に回りくどさ?が若干読んでて気になりました。もう少しスマートな構成で以前は書かれてたんとちゃうかなぁと。とは言え軽くない、重すぎない絶妙な匙加減で物語に引き込まれ、知りもしない外国の情景が文章から目に浮かび、互いの人間ドラマが染み渡ります。20数年前に当時付き合っていた彼女に勧められて読んだ「海岸列車」から数えて27冊目。まだまだ読ませて貰いますよ!三千枚の金貨の行方も気になります。引き続き下巻へ。2021/08/09