内容説明
戊辰戦争の賊軍、会津藩家老の孫・山川捨松は、かつての宿敵だった薩摩閥の陸軍卿・大山巌と結婚した。鹿鳴館の名花といわれ、共に留学経験のある大山との仲は睦まじかった。だが、先妻の子供たちから受け入れられず、家庭内では苦悩の日々を送ることに―。明治のベストセラー小説『不如帰』のモデルで、先妻の娘を苛め抜いた継母といわれた捨松の実相に迫る。
著者等紹介
阿井景子[アイケイコ]
長崎県長崎市生まれ。佐賀大学教育学部卒業。出版社勤務を経て執筆活動に入る。丹念な取材と史料の渉猟による歴史エッセイ、歴史小説に定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
24
ロープデコルテ・・ご存知、鹿鳴館の花と謳われた一人、大山巌夫人捨松が歩いた人生路を綴った歴史もの。筆者の想像でのやり取りが素朴(申し訳ない)でけれん味がなく、すっと読める。帰国子女、後妻、武家ではないとはいえ上流社会に生きるが故の嫉妬と中傷の毎日が描かれる。晩年まで彼女を苦しめたのが先妻の長女、信子の結婚と死。三島通庸の息子との下りが面白可笑しく小説のネタになり、「世間」に翻弄される。昨年、しっかり楽しんだ八重の桜に登場した山川一族。敵陣とも言える薩摩族に嫁いだ後も、しっかり育ちが開花したのが素晴らしい。2014/12/03
橘きこ
1
薩摩閥の陸軍将、大山厳に嫁いだ捨松の、婚約から、結婚生活、小説「不如帰」による人々からの嘲笑やそれによる苦悩、やがて解放される日々を描く。岩倉具視使節団に参加し、アメリカで少女時代を過ごした彼女が、日本の男尊女卑の根強い思想により、活躍出来ない辛さは、今の現代にもやや通じるところがあるような気がした。彼女は前妻の子にも、わけへだてなく愛情を注いでいる姿に感心する。また大山夫人としても、看護会の一人としても表だって社会で活躍している尊敬出来る日本女性の一人であると思う。2012/07/01
kaorin
0
今も昔も、マスコミはゴシップとか人の家のどろどろした話を書きまくっているんだなと思いました。外から何が真実か分からないですね。2013/01/26