内容説明
『東海道中膝栗毛』の作者・十返舎一九の娘、舞。酒びたりで奇行ばかりの父、押しかけ弟子の浪人や葛飾北斎の娘であるお栄たち居候に翻弄される日々だった。十八歳だというのに縁談はみんな父が壊してしまう。そんな舞を武家の若者、野上市之助が見初めた。今度こそ恋が実るか!?奇人変人に囲まれた娘が懸命に生きる姿を、ユーモアと人情味たっぷりに描く時代連作集。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
静岡県生まれ。上智大学文学部卒。外資系企業を経て、翻訳・作家活動に入る。1996年『眩惑』でデビュー。2003年『其の一日』で吉川英治文学新人賞受賞。’07年『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞を受賞。骨太の歴史小説から人情味あふれる時代物まで、幅広い作風で人気を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
53
十返舎一九の娘・舞の奇人変人にかこまれた日常が微笑ましかったです。父は酒浸りで奇行ばかりしているし、押しかけ弟子の葛飾北斎の娘・お栄たち居候に翻弄される日々が笑えます。江戸小町と言われ、縁談が来て一九が壊してしまうのだからちょっと気の毒ですが、転んでもただでは起きないとはこのことで、武家の若者に見初められたのが不幸中の幸いですね。恋が実るかどうかドキドキしてしまいました。舞の恋と謎の多い一九の生涯が絡んで面白かったです。実際一九みたいな父親は嫌ですが、舞に対する愛情を感じます。明るくて楽しい話でした。2014/09/23
onasu
39
葛飾北斎の娘で、鮮やかな浮世絵も残すお栄(応為)。それが読みたくて手にしたのですが、殊の他楽しい一冊でした。 「きりきり舞い」の主は、戯作者/十返舎一九の娘、踊りの師匠の出稽古にも同道する舞。小町とおだてられるも年明けには十九で行き遅れ、なんだが、縁談は酒びたりで、変人振りでは北斎にひけを取らない父が全て壊してしまう。 おまけに、親父譲りの変人/お栄が婚家から飛び込んでくるは、押しかけ弟子の浪人も居候となるはで、それどころでない。 そうは言っても、てのは、もち有り、続編もあり。そちらも楽しみです。2014/04/07
楽駿
26
読書会仲間本。大好きな宇江佐氏と、親交の深かった諸田氏。作品にも似た部分は散見します。お栄さんの登場とか、軽妙な語り口とか。十辺舎一九は、諸田氏が、葛飾北斎+お栄は、宇江佐氏がって、2人で相談して書いたのでしょうか?楽しいですが、少し軽めかな?重い本を読んだ後に良いかも。2018/05/11
豆乳くま
22
主人公の舞の周りには父十返舎一九、その押しかけ弟子、幼馴染みで離縁して舞の家に転がり込んできた葛飾北斎の娘で同じく絵師のお栄、その父北斎と、所謂天才達に囲まれ大わらわ。話は噛み合わずしたいようにし、後始末は全部舞だ。なんだかんだ親子愛が素敵だったがやはり天才と変人は紙一重なのかな。2015/10/07
えりまき
20
2021(194)「東海道中膝栗毛の著者・十返舎一九、4番目の女房・えつ、娘の舞。舞の友人で、葛飾北斎の娘・お栄。すらりとして美人と評判の舞と、小柄で堅肥り目が細く四角い顎を持つお栄。だけど、舞は独身で、お栄は出戻り。玉の輿を狙う舞を、様々な騒動が邪魔をします。舞の生母の口癖「舞え舞えカタツムリ、奇人気まぐれきりきり舞い」。てんぽよいドタバタ劇で楽しめました。表紙や挿画がとても好きです。 2021/08/14
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