内容説明
月刊誌連載の前に書かれた長編第二作。事件のない退屈をコカイン注射で紛らすホームズという、ショッキングな幕開けから、ホームズの語る“推理の科学”そしてメアリ・モースタン嬢の持ち込む不思議な事件へと、物語は興味深い展開をみせる。ベイカー街不正規隊の活躍、依頼人に惚れてしまうワトスン、アグラの財宝にまつわる話など、面白み満載。
著者等紹介
ドイル,アーサー・コナン[ドイル,アーサーコナン][Doyle,Arthur Conan]
1859‐1930。イギリスのエディンバラ生まれ。ロンドンで医師として開業するが成功せず、以前から手を染めていた小説の執筆に専念、ホームズもので大人気作家となる。また、映画にもなった『失われた世界』をはじめとするSFや、歴史小説など、数多くの作品を残した。実際の殺人事件で容疑者の冤罪を晴らしたこともあり、晩年は心霊学にも熱中した。ナイト爵をもつ
日暮雅通[ヒグラシマサミチ]
1954年生まれ。青山学院大学卒。翻訳家。日本推理作家協会、日本シャーロック・ホームズ・クラブ、ベイカー・ストリート・イレギュラーズの会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おか
72
ホームズの長編2作目。あるうら若き女性が退屈でコカインで暇つぶししているホームズにとびっきりの事件を持ち込んだ。いつもながらのホームズとワトスンの活躍が始まる。4人の署名には驚くような意味が、、、う〜〜ん懐かしい世界!ホームズとワトスンみたいな二人が ここから全世界に広がっているんですよね でも やっぱりこの二人がベストカップルかなぁ(╹◡╹)そういえば ワトスンさん このうら若き女性ともカップルになるんだったかしら、、、笑2018/04/07
セウテス
68
【ガーディアン必読1000再読】「緋色の研究」に続く長編第2弾です。ホームズとワトソンの個性を確立した作品だと思う。犬のトービーを使って犯人を追跡するサスペンス感や、犯人が乗る船を追っての海上でのチェイスアクションと、推理ものと言うよりは冒険活劇の要素が多く描かれています。ホームズは案外活動的な探偵であったのだと、再確認する次第です。ワトソンの恋愛がすんなり成就してしまうのは、当時のホームズとワトソンの変な噂を、打ち消す為だったりするのだろうか。少年時に感じたハラハラドキドキは、今読んでも変わりなかった。2015/11/13
Sato19601027
54
日暮雅通さんの翻訳「新訳シャーロック・ホームズ」長編小説第2弾。ミステリ小説に冒険とロマンスを加えた傑作。ホームズの観察眼と推理力に加えて、犯人を追跡するアクションも見どころのひとつ。更に、ホームズの変装も名人級であることがわかる。一方、ワトスン博士は、事件を通してミス・モースタンと運命的な出会いをする。二人の距離が徐々に縮まっていく課程を自ら記録しているという構図も良い。そして、前作のように犯人の回想部分を加えることで、単なるミステリではなく、重厚感のある冒険小説としての仕上がり。とにかく面白い。2024/03/07
藤月はな(灯れ松明の火)
52
ロバート・ダウニー・Jr版ホームズを彷彿とさせるアクション活劇有りな宝探しが繰り広げられる今作。ワトソンと彼の妻となるメアリーとの出会いも描かれています。でもワトソンの結婚報告に面白くなさそうなホームズの姿に最近、復刊したパスティーユ小説(匂い系な)、『わが愛しのホームズ』を思い出して赤面しちゃう・・・。2015/05/25
tengen
51
ミス・モースタンに6年前から毎年届く極上の真珠。そして今日贈り主から会いたいと手紙が届いた。「あなたは不当な目に会われているのでその穴埋めをしたい」 依頼を受けたホームズはワトソンと彼女と共に手紙の主へ出向いた。貴方の父が手にすべき財産を私の父が独り占めにしたと語るその相手サディアス・ショルトー。 その財産を確認しに屋敷へ向かったがそこにあったのは無残な遺体であった。 ☆彡長編なのに短編の1話と変わらない印象。そういう意味でも短編の方がスラスラ読めて小気味良いかも。2018/04/08