内容説明
ネロ・ウルフのもとに大富豪の未亡人が訪れた。依頼はFBIによる執拗な尾行、盗聴をやめさせてほしいというものだった。提示された報酬は十万ドル。助手のアーチーが調査に乗り出すと、FBIの犯行を思わせる未解決のルポライター殺人事件が浮かびあがってきた。殺された男は、FBIの内部調査をしていたらしい…巨大な敵を相手にウルフはどう決着をつけるのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
88
【探偵ネロ・ウルフ】シリーズ第28弾〔再読〕。大富豪の未亡人の依頼は、とんでもない内容だった。FBIにより彼女は尾行や盗聴などされており、そうしたFBIの行為を止めさせて欲しいというのだ。当時は初代FBI長官にフーヴァーが就任し、違法捜査を駆使して長期政権を築いていた時代だ。全くもって無謀だと思われる依頼に、ウルフならどうするのかと期待は大いに膨らむ。これしか無いというやり方が何となく理解出来た終盤は、ラストのまくり方は如何なるものかとワクワクする。今回は推理より駆け引きの鮮やかさに、スカッとさせられる。2020/04/04
ヴィオラ
5
面白かった。「組織」と「個人」が対立した時には、どうしても個人を応援してしまうw ウルフが守ろうとする世界に土足で足を踏み入れようとする組織(FBI)。その時に見せるウルフの怒りは(まぁ、ウルフだけに非常に分かりづらい怒りではありますがw)、「黒い山」あたりを読んでると、より分かりやすいかも。ラストシーンも思わずニヤッとしてしまう、なかなかの良作。2017/06/16
スプリント
2
日本での知名度は今ひとつですが本国では有名な探偵ネロ・ウルフの長編です。典型的な安楽椅子探偵で、助手のアーチーが駆けまわるのが特徴です。被害者の周囲の人物に個性的なキャラを配置していましたがあまり本筋に絡んでこず、最終局面ではまったく登場しないなどわりとあっさりした構成です。2013/10/29
Schunag
2
フーヴァーの盗聴&恐喝(的活動)はこの段階で公然とネタ/批判対象になっていたのか!と、フーヴァーの最期を描くエルロイ『BLOOD'S A ROVER』編集中のタイミングで読んだのでなお興味深かった。2011/05/25
安曇野レイ
1
ネロ・ウルフのシリーズは戦前・戦中・戦後にわたり、時代背景もそれぞれを映しつつ、生活感や人情味を交えているため、そこが魅力的ではあるのだが、映像化するには難しい側面も持っている。特にウルフの女性嫌いは、現代では物議を醸してしまうだろう。もちろん、一目置くに値する女性も登場するし、ウルフも認めているのだが。 本書では FBI に関わる厄介な依頼が迷い込み、盗聴に尾行と様々な妨害にあうも、冴えた1つのアイデアで見事に打ち勝つ。爽やかな読了感を味わえるのは間違いない。アイデアとは、問題を解決する手段なのだ。
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