内容説明
なんとも奇妙な光景だった。椅子に手足を縛りつけられ、氷結した川の上にその死体は鎮座していたのだ。胸にはショットガンの一撃による大きな穴が。まるでオブジェのように…(表題作「ある詩人の死」)。―性格描写もさることながら、プロットに重点を置くアリンの作品は、読者から高い支持を受ける。中編「黒い水」のほか、エドガー賞最優秀短編賞受賞作「ダンシング・ベア」を含む6編を収録。本邦初のオリジナル短編集。シリーズ第6弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
17
ミステリ短編集。シリーズキャラクターものが多いらしいけれど、どれも独立した短編として読んで問題なく、手堅い感じで読ませて面白かったです。お気に入りは、風来坊なキャラの獣医師の真意が最後まで読めなくてハラハラした「フランケンキャット」最後の主人公の選択に深く納得の「レッカー車」ぐいぐい引き込まれて一気に読んだ「黒い水」など。良かったです。2021/05/09
Kouro-hou
13
表題作はポエミーな死に方をしているのかと思いきや、思いっきりどてっぱらにショットガンという組織の抗争でやられましたという感じで全体的にハードボイルド色が強いです。他のアンソロジーで印象に残るのが多い著者は、本職がロックミュージシャンだそうで。死んだロックシンガーのコピーショーでの出来事「ゴースト・ショー」の舞台裏の生々しさはこの著者ならでは。現代モノのばかりと思いきや、中世吟遊詩人が探偵役の「ダンシング・ベア」も音楽繋がり。腕はいいのに持ち歌を出すと事件が起きて悲惨なことになる詩人さんが可哀想。2014/08/22
きっち
9
「ある詩人の死」「ゴースト・ショー」「レッカー車」「フランケン・キャット」「ダンシング・ベア」(←エドガー賞受賞作)「黒い水」の6編収録。日本でのオリジナル短編集。すべて読み応えがあり、ミステリーとしての質はかなり高い。でも、絶版。って言うか、ダグ・アリンの本じたいが最近はまったく出ていないのだね。こんなに面白いのに…。派手さがイマイチ足りないってことかな。渋い作品は一般受けしないってことかな。残念だ。渋茶が好きなジジイの感想でした。2019/01/23
a*u*a*i*n34
6
獣医デイヴィッドシリーズ目当てで。しかしダグ・アリン、他の中短編もすべて面白い。もっと他の作品が翻訳されても良い作家さんだと思いますが、解説にもあるように中編や短編が多くかついろんなキャラシリーズがあって1冊にまとめにくいのかな。それでもなんでもいいから、獣医デイビッドシリーズの中編作品集はぜひとも翻訳してほしいのですが出版後14年も経ってるとちょっともう望み薄?2014/01/19
よふかしとるねいど
3
こんなに面白いのに全然訳されていないのに驚いた2016/04/02
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- 和書
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