内容説明
―紀元71年のローマ。不動産業界を二分するホルテンシウス家の当主と婚約した赤毛のセヴェリナは、過去に3度も夫が不審死を遂げていた。その家を牛耳る2人の美女は、今回も赤毛の財産目当てと断じ、ファルコに調査を依頼する。はたして「錆色の髪の女神(ヴィーナス)」セヴェリナは稀代の毒婦か、悲劇のヒロインか。対決が迫る…。―英国推理作家協会「歴史ミステリー大賞」受賞の人気シリーズ、ますます快調に第3弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中島直人
12
推理小説としても、ロマンスとしても、ものすごくワクワクしながら読めた。面白い!あと、このシリーズは、絶対に順番に読むべし。相互に繋がりが強いので、面白さがいや増す感じ。2019/12/06
湖都
12
密偵ファルコシリーズ第3作。今回の舞台はローマのみで、過去2作と比べるとこじんまりとした舞台設定。ファルコも(それほど)痛めつけられていないし、死者も少ない。ヘレナとの仲も安定している。テーマは解放奴隷だろうか。自由民より裕福で幅をきかせている解放奴隷たちがローマの高層アパートを管理していることが描かれている。それにしても、アパート崩壊の場面はぞっとする。こんな大家のアパートには住みたくないが、土地がないのが古代の大都市ローマである。建築技術が発展してよかったと、現代人の私は心から思う。2018/07/22
鐵太郎
11
奇妙な事件に巻き込まれるファルコ。単なる妖婦の事件かと思ったら、不動産関係の大物が出てきて、ファルコに危機が迫る。さあ、事件の全容はいかに。犯人は誰か。 国家的大事件は起きませんが、ぴりっと引き締まった結末です。ヘレナとの間も一歩前進... するんでしょうか?(笑) 2006/12/27
ハレ
10
帝政ローマ時代。色男ぶりを自認も身分違いの娘にメロメロの密偵ファルコ。金持ちの男と同居する女達から仕事を依頼される。男の婚約者セヴェリナを排除すること。セヴェリナは3度結婚し、夫はともに不審死でそれぞれから莫大な遺産を貰う。現代でも週刊誌ネタになる話で一気読みか、、とはならない。諸事情により2週間もかかって読み終えた。なじみのない名前を忘れ、頁を戻って確かめるから面白さも上滑りに。タイトルはセヴェリナの事なんだけど、なぜ女神なのかもよくわからん。もう一度読み直す気にもなれず、消化不良のまま本を閉じた。 2024/09/14
蝉の一生
3
再読。しかし、記憶力の弱さから初読同様に楽しめる。弱さにもメリットあり。物語では、ファルコは相変わらず危険な目に会いながら、権力にも頼らず(頼れず)、頭と行動力で事件の真相究明に近づいていく。まさに古代版ハードボイルドの世界。当時の大きな社会問題が事件の背景となっており、古代ローマを識る上でも面白い。ヘレナとの仲にも変化があり、こちらも目が離せない。2024/07/14