内容説明
―「他人をこわがらせるのは、なんともいえず楽しい…まさに最高の気晴らしだった」(表題作「女を脅した男」)。なにげない日常のなか、男と女が織りなす、そのあやうい心模様を巧みに描く心理サスペンス!―MWA短編部門受賞二作品を含むノンシリーズ七編に、ウエクスフォード警部もの四編を収録。そのもてる才能を作品に如何なく発揮。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
46
ルース・レンデルの11作品が収められた日本編纂短編集。他の短編集やアンソロジーでは読めない作品がいくつか収録されています。編者が目利きなのでしょう。総じてレベルが高いですね。女装癖のある男との心躍る逢瀬「女ともだち」は、奇妙な不倫関係の心理描写にぞくり。夜道で女性を怯えさせることに喜びを感じる男「女を脅した男」は、悪戯の果ての結末が鮮烈。何気なく時計を万引きした女性「時計は苛む」は、思わぬ大きな犯罪へと連鎖していく過程が面白い。夫の化の皮が剥がれる時「愛の神」は、尊敬から軽蔑へと変わる女心の描写が絶妙。2024/02/08
Ribes triste
17
重厚な長編のイメージが強かったのですが、短編は切れ味鋭いナイフのようで強烈でした。それに比べると毒気は薄まりますが、大好きなウェイクフォード主任警部シリーズの4篇が読めたのが嬉しい。まんぞく、まんぞく。2019/12/06
くさてる
17
選集だけあって、既読の作品が多かった。それでもこれだけまとまって読むと、ずっしりと読み応え有ります。初読の作品では義理の父を嫌った娘と母の葛藤がテーマだった「求められぬ女」の幕切れが本を落としそうになるほど怖かった。後味も悪かった。なんでこんな話を思いつくのかと思います…。優秀な夫と愚かな妻の組み合わせだった夫婦の顛末を描いた「愛の神」の残酷さも負けず劣らず。レンデル怖い。しかしもっと読みたいです。2015/11/16
Tetchy
8
前半7編がノン・シリーズ物で後半4編がウェクスフォード物。率直に云えば、順番は逆の方が読後感は良かったように思う。ェクスフォード物については措くとして、ノン・シリーズ物について云うと、長編におけるそれは、砂の一粒一粒までを描くような木目細やかな心理描写を幾度となく畳み掛ける“重量感”があり、時にはそのために辟易してしまう所があるが短編のそれはほぼ20ページ前後の長さに集約された“切れ味”が際立っており、心地良い。2009/04/07
りえぞう
7
◎。内容は少し古い話だが、やはりルース.レンデルは秀逸。引き込まれた。翻訳家よ深町眞理子さんの厄も味わいになっているんだろうな。亡くなったのはとても残念です。2024/08/16