内容説明
―知将・孫武と出会った楚の伍子胥を待っていたのは、歴史の波乱の渦だった―父は姦臣の悪企みで斬殺され、自分自身もただひとり祖国・楚を追われる。復讐の鬼と化した伍子胥は、楚の平王を討つべく、呉の国に走る。ここから春秋戦国時代は復讐が復讐を呼ぶ乱世となる。“呉越同舟”“臥薪嘗胆”などの有名な戦陣訓は、この復讐ドラマから生まれた。ビジネスマンへの箴言長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
デビっちん
15
再読。「勝って兜の尾を締めろ」驕れるものは久しからず。成功したら調子に乗るのが人間です。勝負に勝ったその後の行動を誤ると手にした功績がなくなるだけでなく、スタート地点よりもマイナスになります。それまでに費やしたものも失うからです。あともう一つ深く学んだのは、他人を批判することもやめましょう。ケナしていた考えの本質に気づき賛同するとき恥ずかしいです。2020/10/09
澄
8
孫氏の兵法と孔子の教え、ニアミスしていたということに驚き。二人がきちっと出会っていたらどうなっていたのか。想像が膨らむ。物語の内容は上巻から続いて面白く、日をおいて再読したい。2017/02/27
デビっちん
4
孫武は伍子胥とともに呉を大勝利に導いたが、あることから自国の斉へ戻ることを決意した。兵法研究に生涯を捧げた孫武だが、戦は国を守ることはできても治めることはできないことを悟り、孔子の教えに共感していった。兵法は自然の摂理に従いながら定立しなければならない。同じ条件で使う兵法も相手の性格によって効果は変わる。兵法を学ぶ前に、人格をたかめなければならない。スキルの前にこころ。歴史ものの長編小説を一気読みすると面白いな~。2015/06/21
ス
3
久しぶりに読みましたがやはり素晴らしい作品でした。どこを切り取っても面白く、歴史の醍醐味が詰まってました。驕れるものは久しからず、盛者必衰、歴史は繰り返されますね。成功したら調子に乗るのが人間ですし、潔く身を引くことができた孫武と范蠡にしろ、虚しく過ごしているような気がします。伍子胥のように苛烈に生きて非業な死を遂げたとしても、或いはそちらのほうが良い生き方なのかもしれません。孔子を宿無し犬と馬鹿にしていた孫武が孔子の考えに傾いていくところや、西施という女性の生き方などもとても面白かったです。2013/06/14
はせこー
2
孫武は「敗者は敗れたがゆえに、どんな妄動をしでかしても、大目に見てもらえるが、勝者の妄動は敵愾心を呼びおこさずにはおかぬものです。」という。 たしかに自分の今までの経験にもあてはまる。また一つ本を読むことで学ぶことができた。2012/02/25