出版社内容情報
冒険のワクワク感に満ちた第5巻。
内容説明
いとこのユースティスとともに、突然ナルニアに呼び戻されたエドマンドとルーシーは、カスピアン王やリーピチープと再会し、行方不明の7人の貴族を探す船旅に同行することに。だが行く先々の海域には、未知の生き物や、一行の心を惑わす不思議な出来事が待ち受けているのだった。
著者等紹介
ルイス,C.S.[ルイス,C.S.] [Lewis,Clive Staples]
1898‐1963。イギリスの小説家、学者。北アイルランド、ベルファストで事務弁護士の父と牧師の娘である母との間に生まれる。幼少の頃から、動物を擬人化した話や妖精物語に魅せられる。オックスフォード大学に進むが、途中で第一次世界大戦に召集される。復学後は英文学で優等の成績を収め卒業。その後同学の特別研究員を経てケンブリッジ大学の教授に就任。文学やキリスト教に関する著作を次々と発表し、諷刺的に悪魔を論じた『悪魔の手紙』(1942年)が世界的ベストセラーになる
土屋京子[ツチヤキョウコ]
1956年生まれ。東京大学教養学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
80
結局はカスピアン王の血にも傲慢な人間の本性が受け継がれていることは時折の言動から明らかではあるがファンタシーと云えど人間の物語で在るからには仕方ない。物語の節々に教訓めいた箇所が見受けられるが説教臭さはなく話の流れを阻害しないものの、アスランと云う絶対感を抱かせる存在に神をなぞらえていることは終章の描写から伺うことが出来る。神は見そなはすのみ、己れを助くは己れと云うことか◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/3348782018/10/10
Die-Go
58
世界的名作ファンタジーの新訳。やはり瀬田訳の『朝びらき丸 東の海へ』と言う題が名訳なのだなぁ、と感じてしまう点を除けば、内容はワクワクさせられる。★★★★☆2023/02/11
ユメ
36
エドマンドやルーシーたちを乗せたドーン・トレッダー号は、東の世界の果てを目指す。「夜明けを踏破する者」を意味するドーン・トレッダー号の航海はまさに血湧き肉躍る冒険だけれど、ルーシーの視点からだと大海原の詩情も感じられ、その匙加減がよかった。小さな身体に勇気をいっぱい詰めこんだネズミのリーピチープの活躍が愉快でならなかったのだが、そのリーピチープの行く末がこうなるとは。甘い夢物語ではない、ナルニアの厳しさを思い知る。ルイスは大人の読者をも歓迎してくれる一方で、実際にナルニアへ行ける者の資格については厳格だ。2017/11/23
パトラッシュ
32
海洋冒険小説好きなせいかシリーズ中で最も面白かった。クルーズ船に遊び半分などでなく、遠い領地の総督が本国の監視がないのをいいことに腐敗しているのを目撃したり、嵐に翻弄されたりドラゴンに変身してしまう経験を重ね、親に甘やかされた我儘な少年は大人に成長していく。死水島や声の島でのファンタジックなアイデアはケルト神話の色彩が強いし、何よりも勇敢なネズミのリーピチープの肖像は美しい。アスランは説教師でなく厳しい世界で生きるすべを教える導き手として登場する。こんな教師に会いたかったと思う読者も多かったのではないか。2020/03/30
南北
32
夏季休暇で親戚の家に預けれられたエドマンドとルーシーはいとこのユースティスと船の絵を通してナルニアの世界に行きます。最初の方ではユースティスの言動にイライラする場面もありましたが、シリーズ4巻目で登場したカスピアン王が再登場し、船の冒険が始まります。ルーシーたちは何度かアスランに助けられますが、手を差し伸べてくれたというより、導いてくれたという印象です。最後にアスランの「自分たちの暮らす世界との絆を深めるべきときが来た」という言葉でエドマンドやルーシーがナルニアの世界を通じて成長してきたことがわかります。2019/05/12