出版社内容情報
ギリシャ三大悲劇詩人の一人ソポクレスの戯曲。シェイクスピア作品の舞台化などで定評のある河合祥一郎氏による英語版からの新訳。
内容説明
危機に瀕する都市国家テーバイを救うためオイディプス王は神託を請う。結果は、「先王ライオス殺害の犯人を罰せよ」だった。真相が明らかになるにつれ、みずからの出生の秘密を知ることになる彼を待ち受けていた運命とは?後世の文学、思想に大きな影響を与えたギリシャ悲劇の最高傑作。
著者等紹介
ソポクレス[ソポクレス]
497/496‐406/405B.C.。古代ギリシャの三大悲劇詩人の一人。アテネの演劇祭である大ディオニューシア祭に30回参加して優勝18回、2位12回の成績を残す。生涯で120を超える悲劇を書いたといわれるが、現存するのは7篇のみ
河合祥一郎[カワイショウイチロウ]
1960年生まれ。東京大学教授。東京大学およびケンブリッジ大学より博士号を取得。著書に『ハムレットは太っていた!』(第23回サントリー学芸賞受賞)『シェイクスピアの正体』ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
81
ギリシャ神話の中でも参照されることが多い本作。お気に入りの方につられ私も初めて読んでみた。心理学系の本に頻出なのはもちろん、直近では「父が娘に語る(中略)経済の話。」で、予言の自己成就の例として読んだばかり。あらすじも都度語られるので知っていたにも関わらず、やはり面白い。すべては予言通り、という皮肉を楽しむ物語だから、むしろ面白さが増す気がする。神託による予言、そして既に悲劇は起きているのにオイディプスは認知していないという構造は、戯曲がメタな示唆を様式美として備える先駆けになったに違いないと思う程見事。2021/04/14
HANA
73
「エディプス・コンプレックス」の語源になった本。一度は教養として読んでおかねば。と手に取ったのだが、これが面白いのである。スフェィンクスによって苦しめられていたテーバイを救い王になったオイディプス、だが先王殺しの犯人を追放せよとの神託が下り…ともう粗筋は大体知っていたのだが、その結末に至るまでの行程が兎に角緊迫していて面白い。先王殺しの犯人が判明するまでに一つ一つ事実が明らかになっていく様などは、ミステリで謎が解かれるような爽快感すら覚えるし。ギリシア人による運命の皮肉、なるほど名作なわけがわかりました。2021/02/26
zoe
26
同じ様な設定の話が、この世界中でいくつあるのか。そういったネタすべての物語の中で、語り継がれた人類史上最古のお話ということですかね?2019/09/01
金吾
25
知らずにすめば問題ないことが知ってしまったために誰一人幸せにならない悲劇の中の悲劇です。防ぎようもない話なので神話らしいと思いました。2020/07/11
kieth文
23
"海辺のカフカ"に影響を受けて、ギリシャ悲劇を初読。人と人の結びつき"縁"は永遠のテーマ。 誰と誰が結ばれ誰の子を産むのか❓ 女の身体は不思議にその可能性を無限に持っている。最後のコロスの言葉が(1525〜1530)心に染みる。もっと深読みするべきなのかもしれないけれど、今回は初読という事でご容赦を。2024/11/29