出版社内容情報
自分の生命と愛する人の幸せを引きかえる究極の愛。革命に揺れるパリとロンドンを舞台に3人の運命を描いた壮大な歴史ロマン。
内容説明
スパイ容疑で逮捕されたフランス亡命貴族のロンドンでの裁判。とある医師の娘が証人となり、弁護士の奇策もあって被告は罪を免れる。一方パリの居酒屋では血腥い計画が着々と練られ…。二つの首都の間で絡み合った因縁の糸が解けていくなか、革命の足音が近づいてくる。(全2巻)
著者等紹介
ディケンズ,チャールズ[ディケンズ,チャールズ] [Dickens,Charles]
1812‐1870。イギリスの作家
池央耿[イケヒロアキ]
1940年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アン
101
18世紀末フランス革命に揺れるパリとロンドン。18年間バスティーユ監獄に幽閉されていたマネット医師を、生き別れたルーシーがイギリスに連れて帰る。銀行員でマネットの管財人ロリー、パリの場末の酒場亭主ドファルジュと秘密の編み物をする妻。ワインの大樽が路上で破裂し群衆が朱に染まる場面は飢えにより理性を失う怖さにぞっと。ロンドンでは侯爵の甥チャールズ・ダーネイがスパイ容疑で裁判にかけられるも弁護士シドニー・カートンの奇策もあり無罪放免に。貴族の圧制と暴虐、父娘の情愛、ルーシへの求婚、過去の経験と心の傷…下巻へ。 2022/03/15
藤月はな(灯れ松明の火)
93
以前、読友さんの感想で「ノーラン監督の『ダーク・ナイト』の参考になった」というのを拝見してから気になっていた本でした。訳者が『ウィンブルドン』でお馴染みの池央耿氏なので大変、読みやすいです。序文も『幻の女』や『復活』のようにインパクトがあるのも良い。アメリカ独立戦争の余波でスパイにヒステリックになるイギリスと特権を貪る貴族への憤懣が爆発寸前の革命前夜のフランス。やがて両者は一人の善良なる貴族によって絡み合う。マネット医師は何故、監禁され、証拠品を破壊するドファルジュ夫妻は何を隠しているのか?2017/08/08
セウテス
67
〔再読〕池央耿氏の翻訳は格調高く、表現豊かで読みやすい。物語は1775年マリー・アントワネットの時代、民衆の不満は爆発寸前までに高まっている。パリの描写から、緊張感が伝わってくる程だ。物語はフランス貴族であったダーネイが、イギリスに亡命し自分と双子の様に瓜二つのカートンと出会う。しかしカートンは才能が有るにも関わらず、自分の人生に虚無感を抱いている。ダーネイはイギリスへ渡る船で一緒だった医師のマネットと娘ルーシーとも再会。登場人物紹介と共に隠された事情が、あえて見える様に描いており、後半への伏線に思える。2017/12/23
syota
39
ディケンズは4作目だが、話のダイナミックさではこの作品が一番。特に、革命直前のフランスを舞台にした部分は、読んでいて思わず引き込まれてしまう。登場人物も、初めは素性不明でミステリアスだったり、読者を引き付ける仕掛けに事欠かない。「若草物語」にもこの作品が出てきて、昔から気にはなっていたけれど、こんな話だったんだ(^o^) ちなみにこの池央耿訳は、今年出たばかりのほっかほかの新刊。長く流布していた中野訳とくらべると、リズミカルで歯切れがよく読みやすいのが特徴で、会話部分の巧みさも特筆される。[G1000]2016/09/13
MATHILDA&LEON
31
当時のイギリスとフランス。貧富の格差に衝撃を受け、とにかく先へ先へと読み進めた。この作品がどう私の心に響いてくるのか、最後まで読まないと分からないが、上巻を読み終えた今は、とにかく続きが気になって仕方ない!の一言。2021/03/19