出版社内容情報
長編では分からないドストエフスキーの奥深さが魅力の傑作選。他に「百姓マレイ」「キリストの樅の木祭りに召された少年」収録。
内容説明
ペテルブルグの夜を舞台に、内気で空想家の青年と少女の出会いを描いた初期の傑作「白夜」。自殺を決意した男が夢から覚めた後、真理を発見し、自殺をとりやめるという幻想的な短篇「おかしな人間の夢」ほか、長篇では味わえない、“らしくない”ドストエフスキーに出会える珠玉の4作。
著者等紹介
ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ[ドストエフスキー,フョードルミハイロヴィチ] [Достоевский,Ф.М.]
1821‐1881。ロシア帝政末期の作家。ニヒリズム、無神論との葛藤を経て、キリストを理想とした全一的世界観の獲得に至る。日本を含む世界の文学に、空前絶後の影響を与えた
安岡治子[ヤスオカハルコ]
1956年生まれ。東京大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
109
「おかしな人間の夢」はドストエフスキー56歳・1877年発表。「白夜」は27歳・1848年発表。前者は、明晰夢と現実が入り混じった真理にまつわる物語。難解に感じた。後者は、副題にあるように初期の明るいタッチの感傷的な小説。ナースチェンカに恋をする夢想家の僕のたった4夜の思い出。僕はペテルブルグの夜の運河で泣く彼女に会った途端に恋に落ちるが、1年前にこの場所で求婚すると約束した彼が現れ、もう少しで結婚に至るところが叶わなかった。大仰なセリフとドラマチックなストーリー展開は、彼のイメージからは意外に感じた。2022/02/15
藤月はな(灯れ松明の火)
92
キリスト教での自己・罪と罰・博愛の意義を俗世の様子も交えて長々と書くことで有名(つまり、暗く、重く、長い)なドストエフスキー。しかし、ドストエフスキーは鰐に夫を食べられた奥さんの混乱と慣れを描いた不条理ブラックコメディ『鰐』も書くほど、モラヴィアのように堅くなく、意外と捌けたストーリー・テラーだった。『白夜』は語り手の夢想家でちょっと調子のいい青年よりもナースチェンカに感情移入してしまいます^^;特に語り手の青年を愛する理由が「あなたは私にめんどくさいと思う程、愛さないから」という理由には頷いてしまいます2015/08/31
kazi
48
お目当ては白夜でした。ドストエフスキーは大天才だと思っているのだが、この中編はいまいち乗れなかった。後の長編小説のような多面的な視点が見られないからだろうか?とにかく主人公男性の自己犠牲に対して違和感を覚える。『ああ!完全なる至福の瞬間だった!あれは、人間の長い一生涯分に十分足りるほどのものではないだろうか?……』。私にはこのセリフに象徴される考えには上手く感動することができないです。そこに著者の理想が込められているのかもしれないが・・。ドストエフスキーの小説にこんな違和感を覚えたのは初めてかも。2020/08/14
sarah
43
ドストエフスキーらしくない短編集 意外と読みやすかった。どれも切ないながらも、そこはかとなく明るさが感じられる不思議なお話。中でも「キリストの樅の木祭りに召された少年」「百姓のマレイ」はとても温かさと優しさを感じられる作品でした。2025/03/20
たぬ
40
☆3.5 ひょっとしたら、いやひょっとしなくても宗教に関心を抱いていないとドストさんをちゃんと読み解くのは難しいんじゃ? 4編入りのこちらも「おかしな人間の夢」は信仰! 原罪! 神と私! が炸裂していて退屈…。「白夜」はナースチェンカがかわいい小悪魔ちゃんだったし「キリストの~」はフランダースの犬風味でなかなかの味わいだったんだけどね。2021/11/30
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