内容説明
「賃金とは何か」「資本とは何か」「利潤とは何か」。この根源的な問いに答えるべく、古典派経済学と格闘しつつ独自の経済学を確立していったマルクスの基本文献を収録。付録(「賃金」草稿と「代議員への指針」)と詳細な解説を元に、『資本論』読解への第一歩を踏みだす。『資本論』入門シリーズ第1弾!
目次
賃労働と資本
付録1 賃金
付録2 エンゲルスによる一八九一年版序論
賃金・価格・利潤
付録3 個々の問題に関する暫定中央評議会代議員への指針
著者等紹介
マルクス,カール[マルクス,カール] [Marx,Karl]
1818‐1883。ドイツ(プロイセン)の哲学者・経済学者・革命家。思想家として現代にもっとも深い影響を与えた。「独仏年報」誌に「ヘーゲル法哲学批判・序説」「ユダヤ人問題のために」を発表。『経済学・哲学草稿』で私有財産の哲学的解明と労働疎外の問題に取り組んだのち、『経済学批判』『資本論』で資本主義の矛盾を鋭く分析、批判。20世紀の社会主義革命の思想的な礎を築いた。私生活ではつねに窮乏にあえぎ、相次いで幼い娘・息子を亡くすなど不遇をかこったが、親友エンゲルスの経済的援助を受けながら意欲的な執筆活動を続けた。1883年3月没
森田成也[モリタセイヤ]
1965年生まれ。大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かわうそ
45
マルクスが言う労働とは単なる労働ではありません。自分のために物をつくってもその物を商品とは呼べないんですね。他人のために作り、自ら消費することのない、社会的労働によって形成されたものが商品でありその商品の価値を作るのが社会的労働です。この社会的労働が彼の言う労働に他ならない。そして、その労働が資本主義社会の価値を作り上げる。実はプロレタリアの労働は必要労働と不払労働に分解できる。この不払労働はブルジョアによって搾取されているというのがマルクスの主張であり、どんなに賃金が高くてもここの本質は変わらないです。2023/04/20
かわうそ
28
「通常の平均的な利潤は商品を実際の価値以上にではなく実際の価値通りに売ることによって得られるのである。」一般的な理解としては商品をその価格を釣り上げることによって利潤を得ていると思われるがそうではない。あくまでも、労働者が不払労働をすることによって剰余価値が生まれ、それが資本家の懐に入るのだ。さらに、その労働者の賃金も労働時間の総体の価値として現れると思われるがそうではなくて、労働時間の支払運動のみが反映されるのだ。さらには、生産力の増大は労働者の労働を過酷にする。2022/02/28
壱萬参仟縁
20
労働そのものの生産費とは、労働者を労働者として維持するのに、彼を労働者へと要請するのに必要とされる費用(傍点30頁)。社会的な生産諸関係は、生産の物質的諸手段、生産諸力が変化し発展するとともに変化し変容する。生産諸関係は、社会を構成し、一定の史的発展段階における社会を構成する(傍点34頁)。賃金が増大するのは労働に対する需要が増大するとき。生産資本が増大するとき(103頁)。非正規の単価を上げるにはどうするか? 2015/01/18
たんたん麺
13
賃労働にとって最も有利な条件は生産資本ができるだけ急速に増大することである。2014/05/24
またの名
11
付録商法みたいに見える100ページを超える解説は、テクストの成立過程や賃金と利潤についての混乱を説明して短い論文集にたんに上乗せされた以上の価値を付与。ある商品価格は他の価格や事物との関係においてのみ高いとか低いとか言えるように、賃金も他の様々な事物との関係においてのみその数値の内実を理解できる。なので資本家の取り分と労働者がもらう賃金との関係を注視して、資本家の私腹と産業が増大するためには、彼ら以外の労働者たちが絶対に隷属階級であり続けることが必要なメカニズムを分析。ただの読み易い新訳を超えた濃い文庫。2016/06/27