内容説明
19世紀後半のフロリダ。人里での摩擦を避け、矮樹林が広がる土地で厳しい開墾生活を送るバクスター一家。ある日、父ペニーがとっさに撃ち殺した雌ジカの傍らに、母を失った仔ジカが立ち尽くしていた。息子ジョディは仔ジカに魅了され育てたいと両親に懇願する…。
著者等紹介
ローリングズ,マージョリー・キナン[ローリングズ,マージョリーキナン][Rawlings,Marjorie Kinnan]
1896‐1953。アメリカの小説家。ワシントンDCに生まれ、子どものころから創作コンテストに度々入賞し才能を発揮する。大学を卒業後、新聞記者となるが、作家としては芽が出なかった。1928年、旅行でフロリダ半島の奥地を訪れ、原生林の残る自然に感動し、居を定める。以後はこの地方を舞台にした小説を生み出し、1938年の「The Yearling」がベストセラーとなり、ピュリッツァー賞を受賞する
土屋京子[ツチヤキョウコ]
1956年生まれ。東京大学教養学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なる
32
学生時代の恩師が勧めてくれていた本。アメリカ開拓民の少年と親鹿を無くした子鹿との触れ合いが中心と思いきや、どちらかというと開拓民として生き抜こうとしている人たちの物語を少年の目線から描いた成長譚といった色の方が強いかもしれない。それはそれでよかったりするけれど。疫病、不作、獣との戦い。厳しい大自然と向き合いながら生活して行く少年の一家。少年を見守る父と母の強さが誇らしい。子鹿との触れ合いは物語のエピソードの一つとして添えられていて、人間が生活して行く上で生命とどう向き合うかという主題に目が行く。2022/12/31
ROOM 237
16
大自然の中くらいの家の物語、いいわぁ。西部劇映画好き故に開拓時代の暮らしも当然興味深く、自給自足生活の細かなルーティン描写は非常に一体感があり一気読み。不便な生活のご褒美ともいえる小さな生き物との出会いをそっと見守る主人公の少年、その日々成長する少年をワタクシ見守りました(←ややこしいわ)。吉村昭の熊嵐ばりの熊や蛇など生命を脅かす存在との対峙と、作中で毎日水を汲みに行くシンクホール並みに懐の深い父ちゃんの人柄よ。好きになっていいですか?この陥没孔の仕組みと蛇に噛まれた時の対処法は凄くタメになりました。2023/01/11
市太郎
7
タイトルは「仔鹿物語」だが、前半は仔鹿はでてこず、自然との共生や人間関係、家族関係等がメイン。少年からの視点であるため文章は易しめでレベルの高い児童書として読める。自然の中で生きるというのは現代では誰しも一度は憧れるがこの小説ではそんな優雅さはあまり無くむしろ難しく厳しいものだとの警鐘を受ける。この少年の心理を自分の幼い頃や自分の子を当てはめて読むとより深い感動を味わえる。父親の姿は勉強になる。多数対一人のけんかでは道理が通らないから一人の方に加勢する等、子の良い手本になってる。人の親なら共感できる。2013/05/10
APOM
4
大自然の中に暮らす人間の営み。その喜びと悲しみ、厳しさ。ジョディの曇りのない視点から生と死を学ぶ。読み進めるにつれページをめくる手が止まらなくなる!父子でシロヅルのダンスを見守るシーン、ガラガラヘビとの格闘、フォレスター家の葬送の場面が強く印象に残る。下巻へ。2013/05/06
Ayanosuke
4
動物を食糧にするために殺す場面、動物達が殺し合う場面、人間を襲う場面、リアルに描かれていて、生と死がストレートに心に突き刺さりました。下巻がどんな風になるのか楽しみ。2013/01/20