内容説明
目の前にとつぜん現れた愛する母と妹。ラスコーリニコフは再会の喜びを味わう余裕もなく、奈落の底に突きおとされる。おりしも、敏腕の予審判事ポルフィーリーのもとに出向くことになったラスコーリニコフは、そこで背筋の凍るような恐怖を味わわされる。すでに戦いは始まっていた。
著者等紹介
ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ[ドストエフスキー,フョードルミハイロヴィチ][Достоевский,Ф.М.]
1821‐1881。ロシア帝政末期の作家。60年の生涯のうちに、以下のような巨大な作品群を残した。『貧しき人々』『死の家の記録』『虐げられた人々』『地下室の手記』『罪と罰』『賭博者』『白痴』『悪霊』『永遠の夫』『未成年』そして『カラマーゾフの兄弟』。キリストを理想としながら、神か革命かの根元的な問いに引き裂かれ、ついに生命そのものへの信仰に至る。日本を含む世界の文学に、空前絶後の影響を与えた
亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949年生まれ。東京外国語大学長。ドストエフスキー関連の研究のほか、ソ連・スターリン体制下の政治と芸術の関係をめぐる多くの著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こーた
189
出てくる男は悉く莫迦か変態か異常者か、そうじゃなかったら呑んだくれの酔っぱらいで、女は反対にみんな聖人なんである。各々が物語をかたる。自分の見ている世界、自分のことしか考えない、自己中心的な世界を。その身勝手な自己は他者と決して交わることがない。話はどこまでいっても平行線で、差し伸べられる手は悉く払い除けられる。ロージャはよく寝るし、よく歩く。ほとんどが気絶と徘徊だけど。そんなわけで、なかなか健康は恢復しない。罪を犯したことによる精神的な影響、というよりは、犯罪の露見するのをただひたすら恐れ、怯えている。2023/08/20
ハイク
137
1巻は少し読みにくい所があったが、慣れたせいか更に訳文がうまいので読み進むことが出来た。巻末に訳者の読書ガイドがある。非常に有益であった。1巻のあらすじが掲載されており大いに役立つ。特に各場面の描写が長文なので筋書きが分からなくなってしまう。また当時の裁判制度やラスコーリニコフ等の思想的背景も解説があり有り難い。400頁に僅か10場面にも満たないので、いかに著者の描写が懇切丁寧なのが分かる。特に主人公が予審判事ポルフィーリとの老婆殺害に関するやり取りは、迫力があり見応えある描写であった。早速3巻を読もう。2016/08/26
ミッフー
117
主人公ラスコーリニコフ、益々狂気さ増し自ら深みにはまっていく様は読んでて嘔吐しそうな気分に🤮そこまでなってひまうは、やはり金貸し老女アリョーナと、殺意はなかたリザベータを殺めたせいか⁉️彼の論文が恐ろしい😱「ニュートンの発明が世間に公表される為に何百人と人を殺さねばならないなら彼は殺す権利がある」みたいな💦広島長崎に原爆落とした際の米政府の言い分(投下により終戦導きその後予想される多くの犠牲者を救った)と一緒やん😤あるべき論や大義名分、今も昔も変わらないな🤔でも、方便使う奴にいい奴はいないよ🙄2019/04/06
ペグ
100
「2」の要点は3つ。ラスコーリニコフの犯罪動機〜おぞましい選民思想。ソーニャとの聖書問答〜(わたしにとっては無知ながら)面白く読む。予審判事ポルフィーリーの鋭い指摘〜まるで自分が犯人で心を見透かされているみたいでスリリング!濃密な読書時間。読書ガイドが有難いです。平易な文章でありながら油断ならないのは、やはりドストエフスキーの世界でした。2019/08/04
やきいも
88
ストーリーや登場人物を丁寧に細かく描写していくので、物語はわりとゆっくりと進行していく。テキパキとは展開しない(笑) 〈1〉同様この巻も物語全体の雰囲気はやや暗く、重い。そんな中でもこの物語のヒロインの娼婦ソーニャが主人公ラスコーリニコフに聖書の中の「ラザロの復活」を読んであげる場面が好きだった。ラスコーリニコフは最終的にはどうなるのか?いよいよ最終巻の『罪と罰〈3〉』へ。2015/10/25