内容説明
とつぜん出現した謎の犬におびえる人々を描く表題作。老いたる山賊の首領が手下にも見放され、たった一人で戦いを挑む「護送大隊襲撃」…。モノトーンの哀切きわまりない幻想と恐怖が横溢する、孤高の美の世界22篇。
著者等紹介
ブッツァーティ,ディーノ[ブッツァーティ,ディーノ][Buzzati,Dino]
1906‐1972。イタリアの作家。魔術的幻想文学の書き手として世界的に名高い。新聞記者としてスタートし、小説も次々と発表。社会批評、絵画製作、舞台美術などでも活躍する。短編集『六十物語』で、イタリア文学界最高の賞とされるストレーガ賞を受賞
関口英子[セキグチエイコ]
埼玉県生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
124
表題作について。「誰も見ていなくても、お天道様は見ている」の西洋版のように思いました。その意味で、「神を見た犬」というタイトルに込められた意味は私が表面的に理解しているものの他にもあるように思いました。何だろう?2025/07/21
kariya
113
人知を越えた存在を人は恐れる。たとえそれが犬であっても。信仰篤い修道士亡き後、その飼い犬が神秘的な存在感で村人を脅かす表題作を始め、階を下ると病状が重いのだと噂される病院を描いた「七階」など、不思議な味わいの短編ばかり22本を収めた作品集。”イタリアのカフカ”と評されることも多いそうだが、カフカの閉塞的な空気や不安感とは違い、不条理ではあっても陰翳のはっきりした画を見るようで、こちらは別種の興がある。「天地創造」で始まり「この世の終わり」で幕を閉じる構成も捻りが効いていて素敵。2009/10/31
青蓮
111
タイトルに惹かれて手に取りました。短編22編収録。紹介文には「幻想と恐怖が横溢する」とありましたが、それより寧ろ極上のブラックユーモアに溢れているように感じました。雰囲気的には星新一を彷彿とさせます。どの作品も絶品。長らく積んでましたが、もっと早くに読めばよかったなぁと悔やまれます。無神論者への皮肉を描いた表題作の「神を見た犬」、迫り来る死の影に怯えるさまを描く「七階」、喜劇コントのような「グランドホテルの廊下」、人間らしさとは何かを問う「マジシャン」などがお気に入り。とても面白く読みました。お勧めの1冊2016/10/08
中玉ケビン砂糖
111
、矛盾になるが、自分はまだこの本を一ページも読んでいない、しかし語りたいことはたくさんある、それをすることで何か収穫があるかを実験してみたい衝動に駆られた(読メとしてもちろん邪道であることは十々承知している)、ブッツァーティという作家は、たとえ本を読む人でも、海外文学に疎ければ知らない人が多いのではないかと思う、そもそも「現代イタリア文学」といういささか香ばしい感のあるジャンルに親しみを感じる人もおそらくマイノリティだろう2015/02/18
やいっち
101
仕事の合間に読んできたのが勿体ないような作品の数々。我輩としては、長編小説『タタール人の砂漠』でぞっこんとなった作家。「魔術的幻想文学の書き手として世界的に名高い幻想味のある作家というが、確かに、「われわれが無意識のうちに心の奥底に抱えている心象風景を、類まれな感性でえぐりだし、容赦なく突きつけ」てくれる。カフカ的不条理というほどではなく、読後読み手を震撼とさせるほどではない。ヒッチコック辺りが映像化したら面白いかもという娯楽的配慮も欠けてはいないという印象を受けた。2021/02/10
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