内容説明
孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家ゼバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス。同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見守られながら成長していく感動的な物語。ドイツの国民作家ケストナーの代表作。
著者等紹介
ケストナー,エーリヒ[ケストナー,エーリヒ][K¨astner,Erich]
1899‐1974。ドイツの作家。8歳から80歳までの「子ども」たちに愛され、軽快で、簡潔で、男らしく、ユーモアにみちた作品を書いた。児童物で有名だが、大人を意識した小説やシニカルな詩も。「子どもの友」にして、大胆なモラリスト、そして辛辣な風刺家
丘沢静也[オカザワシズヤ]
1947年生まれ。首都大学東京教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
197
寄宿舎で生活する5人の少年が劇を作るにあたって色んな壁や挫折にぶつかりながら彼らなりに成長していく物語。名言も多くて読んでいて深いなーと心に沁みわたる。特に残っているのは人生は何を悲しむかではなくどのぐらい深く悲しむかが重要であるという言葉である。子どもの悲しみを軽視しないで大切に向き合って欲しい思いがここに表れていると感じた。この作品は大人が子どもを支えるのではなくお互い支え合っているように感じる。シンプルな言葉で心の底の温かい部分を刺激してくる作品であり多くの人に読んで欲しいと感じた!2021/03/30
Willie the Wildcat
162
親友であり師と呼べる人たちとの出会いは一生の宝。友人が親友となり、先生が師となる瞬間。特に苦境の時の言動が、その人の本質を描写。マルチンに応える正義先生。師弟関係斯くあるべき!マルチンが実家の扉を開けた最後の場面は、頭でわかっていてもグッとくる。クリスマス休暇後の5人組と2人の先生たちの”再会”も、もれなく心温かいはず!”郵便切手”の件では、義母の心遣いを思い出す。USでの新婚当時、大学からの薄給の中での支援。切手がたくさん貼っている日本からの小包が、どれだけ心の救いとなったことか。感謝。2017/03/22
zero1
116
勇気とは何か?家族がクリスマスを一緒に過ごす意味。 世界各国の読者に支持された、ケストナーの作品。 ベーク先生と禁煙さんの友情。 泣くことを必死でこらえる生徒。 どれだけの少年少女が涙を涸らしただろう。 今の文明が滅びるその日まで、この作品は読み継がれてほしい。 ケストナーは、ナチスドイツにより作品を燃やされた。 その様子を、彼は腕を組んで見物していたという。 本書は高橋訳がよく知られているが、古典新訳もいい挑戦をしている。 光文社には、これからも頑張ってほしい。 陰ながら応援している。 2018/10/18
おくちゃん🍎柳緑花紅
109
8才から80才までの子どもに。かつて少年だった大人たちへ。大切なプレゼントをいただいた気分。正義さん、禁煙さん、クロイツカム先生のなんて魅力的な大人だろうか‼ジョニー、マティアス、ウーリ、セバスティアンそしてマルティン達五人のなんて伸びやかで愛おしい少年だろうか‼ほろりと涙が溢れそうになったり笑顔になったりキラキラと輝く‼クリスマスに再読したい一冊。丘沢静也さんの訳がとても良かった。2016/06/24
アキ
107
本年4月開講のNHKラジオ高橋源一郎の「飛ぶ教室」。なぜそのタイトルにしたか彼が語っていた。1933年ナチスが政権をとり、彼の本を含め自由な作風の本は焚書されたがそれを見に行ったことで知られる。児童文学だけは書くことを許され、彼は寄宿舎で生活する5人の仲間の物語を書いた。そしてこのタイトルに自由でどんな場所でも行える授業をラジオで学ぶ番組のタイトルにふさわしいと思ったと。ベーク先生の塔の部屋がジョニーたちにとって特別な部屋になったように、ラジオのこの番組が自分にとっての特別な部屋になる予感がする。再読本。2020/04/14