内容説明
とつぜん引退を宣言したリア王は、誰が王国継承にふさわしいか、娘たちの愛情をテストする。しかし結果はすべて、王の希望を打ち砕くものだった。最愛の三女コーディリアにまで裏切られたと思い込んだ王は、疑心暗鬼の果てに、心を深く病み、荒野をさまよう姿となる。
著者等紹介
シェイクスピア,ウィリアム[シェイクスピア,ウィリアム][Shakespeare,William]
1564‐1616。イギリスの劇作家、詩人。若くして故郷を出、ロンドンで役者となった後、座付作者として活躍。『ハムレット』『オセロウ』『リア王』『マクベス』の四大悲劇など、37編の劇を残し、エリザベス時代を代表するばかりか、時代と国境を超えて、世界文学史上最大の作家の一人に数えられている
安西徹雄[アンザイテツオ]
1933年生まれ。上智大学名誉教授。また、「演劇集団“円”」を拠点に、シェイクスピアをはじめ、多くの芝居の翻訳・上演にたずさわってきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ehirano1
114
言わずと知れたシェイクスピアの4大悲劇の一角、加えて世界三大悲劇の一角でもある本作は言うだけあって破壊力がハンパないです。具体的には、リア王とグロスター伯が狂って行く様子が交互に描かれていて読者のメンタルを破壊しかねないと感じました。ある意味、読者にとっても悲劇かもしれません。2024/05/05
アキ
108
400年以上前の1605年の有名な戯曲。リア王を老いという観点で読んだ。3人の娘に財産を分けた理由が不明で、その後の娘への高圧的な態度と怒りにまかせた行動は理解に苦しむ。道化は立場に捉われない真実を指摘する。狂気と怒りにまみれ、誰もを信じられなくなり、娘に見捨てられ、和解した唯一の三女コーディリアと共に死す運命。ケントやエドガーの献身を除けば、なんという救いのなさ。リア王の叫び「文明の皮を剥ぎ取れば、人間、たったこれだけの素裸の哀れな二本脚の動物にすぎぬのか。捨てろこんな借り物。こいつを引き破ってくれ!」2021/08/01
molysk
71
老いたリア王は引退を宣言して、三人の娘が国土の継承に値するかを試す。阿諛追従の姉二人は巧言を弄するが、朴訥な三女コーディリアは父の怒りを買って縁を切られる。領土を得た姉二人は転じて父を虐げ、リアは正気を失って流浪する。フランス王妃となったコーディリアは、父を救うために夫とイギリスに攻め込むが、戦いに敗れて父とともに捕縛される。リアは忠実な旧臣に救い出されるも、扼殺されたコーディリアの姿に絶望して、息絶える。善良なるコーディリアが非業に倒れる筋書きは、シェイクスピア四大悲劇の中でも、特に悲劇的といえる。2021/04/17
♪みどりpiyopiyo♪
53
あれ? この本 読んでなかったっけ??? …と思ったら、あ!またまた電子書籍の方で登録してましたー。二年前の私よ、うっかりが過ぎるぞよ。。 ■本書の感想はこちら↓ https://bookmeter.com/reviews/85258058 思いもよらぬドタバタ劇で びっくりしたなー(๑°ㅁ°๑)2019/11/14
ロドリゲス
49
リアは長女・次女と生活するも、娘達に厄介者扱いされ、追放されます。それまで富や権力に恵まれ、何不自由なかったリアが我が娘に仕打ちを受け、見捨てらます。欲望というのは家族愛や兄弟愛をも奪ってしまいます。 本作品は、人間は権力・財力・名声などを得たとしても、決して幸福だとはいえない。むしろ欲により確執が生まれ、それが家族から国への崩壊の引き金になっていく。どんなに欲を満たしても、決して人として忘れてはならない物があるということを訴えた傑作だと思います。 初めての戯曲ですが、とても面白かった。 ★★★★★ 2018/08/18