内容説明
夜闇に包まれた油屋を二人の浪人が襲った。金を渋った亭主を無情にも殺した賊は、突如入ってきた船頭に斬られた。船頭の名は沢村伝次郎。一刀流の達人で元南町奉行所同心だった。訳あって同心から船頭に転身し穏やかな毎日を送っていたある日、伝次郎の親しい船頭仲間が殺害された。怒りに震える一刀流の鋭い剣が悪に立ち向かう。待望の新シリーズ第一弾。
著者等紹介
稲葉稔［イナバミノル］
１９５５年熊本県生まれ。脚本家、放送作家などを経て、’９４年作家デビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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やま
66
元南町奉行所定町廻り同心で、剣の遣い手の船頭、沢村伝次郎の活躍の物語です。伝次郎は、三年前に定町廻り同心として幕府大目付の下屋敷に、江戸市中で辻斬りを行なっていた肥前唐津藩士の津久間戒蔵を捕まえるために、無断で踏み込んだ責任をとって南町奉行・筒井和泉守政憲に辞意を伝えて奉行所をやめて帰宅すると。妻の佳江、息子の慎之介などの家の者が皆殺しにされていた。下手人(犯人)は、津久間と思われるが行方が分からない。そんな中で行くあてもなく乗った川船の船頭嘉兵衛の明るさに、つい伝次郎は弟子入りして川船の船頭になる。→2022/11/12
とし
33
剣客船頭１巻。主人公沢村伝次郎元は南町吟味型方下役同心であったが、奉行筒井和泉守の抜擢で、町奉行同心の花形三廻り（定廻り・臨時廻り・隠密廻り）南町定廻り同心に推挙され期待どうりの働きをするが、犯人捕縛の不手際で責任をとり職を辞す、さらに不幸にも妻子を殺害される。船頭嘉兵衛に巡り合い船頭に転身する。以後伝次郎をとりまく事件を解決していくシリーズ。稲葉さん、同心から船頭へ・浪人から八州廻りえ、死罪から奉行直属の仕置に人にと主人公の設定が面白く楽しく読める。2013/12/19
佐島楓
32
今は船頭に身をやつしているものの、元同心という異色の男・伝次郎が主役。悪役がわかりやすいほどの悪役なので、入り込みやすいと思います。会話の掛け合いも巧み。本当の敵を討ちとれる日が来ることを祈ります。2015/03/24
那由多
9
妻子を殺された元南町奉行所同心が、辞職後に船頭になり、悪に立ち向かうシリーズ第一弾。わかりやすく、読みやすく安定感があり、なかなか良い。ドラマ化しても面白そう。機会があれば、次作以降も読みたい。2017/12/01
真理そら
7
ハードボイルドな時代小説。訳あって南町奉行所定廻り同心を辞することになった船頭の沢村伝次郎は常時二本差しというわけではないので、一刀流の達人でもその腕を生かしにくいという縛りがあるのが面白い。盗賊に目を付けられた若夫婦の描き方がわりとリアルなのが良い。2017/11/18
