内容説明
失業中の学芸員のわたしに、金沢のホテルの仕事が舞い込んだ。伝説的女優にして作家の曾根繭子が最後の時を過ごし、自殺した場所。彼女のパトロンだったホテルの創業者は、繭子にまつわる膨大なコレクションを遺していた。その整理を進めるわたしは、彼の歪んだ情熱に狂気じみたものを感じていく。やがて起こる数々の怪異。繭子の呪い?それとも…。長編ホラー。
著者等紹介
若竹七海[ワカタケナナミ]
東京生まれ。立教大学文学部史学科卒業。1991年、連作短編集『ぼくのミステリな日常』でデビュー、新人離れした力量で注目を浴びる。以降、青春ミステリーから歴史ミステリー、コージー・ミステリー、ホラーまでジャンルを問わず、多彩な作品を次々に発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
116
学芸員の「わたし」は、金沢市郊外の高級リゾートホテル銀鱗荘にホテルの創業者が集めた女優兼作家の曾根繭子にまつわるコレクションの整理と展示に神奈川からやって来た。山のようなコレクションの数々、その中にはゾッとするようなコレクターの執念を感じさせるものもあった。黙々と作業を続けるわたしに次々と怪奇現象が襲いかかる。それは繭子の亡霊か?前半はお仕事小説、後半からガッツリホラーである。そう、ミステリーというよりやっぱりホラー。妨害してくる輩、そしてあの執念深い奴が一番怖かった。2022/09/08
セウテス
90
【葉崎市】シリーズ外伝の様な作品。何故なら金沢の高級ホテルを舞台に、自殺したと思われる女優曾根繭子の遺品にまつわる、ゴシック風ホラーであるから。ヒロインである「わたし」は学芸員、一人人間関係に苦労しながらも、精一杯自分の仕事をこなそうとする姿勢に好感が持てる。若竹作品らしく、彼女の周りにイヤな人間が多く、キャラとしても魅力的に感じる。徐々に不気味な事が起き始め、ホラーな展開になっていくのは良いのだが、ハッキリしない事が気になってしまう。コレクターの異常な心理や、生きている人間の悪意の方が本当に怖いかも。 2020/04/19
tengen
74
若竹さんの長編ホラーミステリー。 といってもライトな感覚は七海さんらしい。すらすら読めました。 仕事をなくした主人公は金沢の老舗ホテルで「亡き女優であり作家の曾根繭子にまつわるコレクション」の整理・公開準備を任せられることになる。 人間関係に苦労しながらも公開準備をすすめるが、繭子にからんで次々と不思議な出来事や悲惨な事件が起こる。 それは見つかった繭子の遺作に描かれた事象ばかりだが、ラスト近くの数ページが金庫から消え。。。。それは公開日に起きた。 2014/03/07
さっちゃん
61
葉崎市シリーズスピンオフ的な長編ホラー。葉崎市立美術館の学芸員だった「わたし」は閉館に伴い失業。先輩の紹介で、自殺したと言われている伝説的女優・曾根繭子に関するコレクション整理の職に就く。金沢のホテルで繭子の膨大なコレクション展示に向け、前半は学芸員の奮闘ぶりが描かれるが、次第に怪異が起こり始め……。得体の知れない恐怖に怖気立ちながらも読む手が止まらない。歪んだ愛情と狂気にゾクリとする。ホラーだけどちゃんと若竹ワールドなのが嬉しい。「わたし」が次々と困難や不運に見舞われる姿につい葉村晶を思い出してしまう。2021/12/14
ぽんすけ
40
若竹さんといえば人気推理作家。その人のホラーテイストの本ということで手に取ったが、構成もうまいしちゃんと怖さもあるし大変満足した。ミステリー作家さんはホラーと親和性が高いのかも?最近読んだ今邑さんの本も面白かったし。しかし大林一郎はキモすぎるだろう。使用済みの割り箸とかカピカピになったティッシュとかそんなもん取っておくとか主人公じゃないがただの変態です。作中で何度も不穏な描写があるのに最後まで一気に読み切れるのは主人公がしっかり立っているからだろうな。すごく好感度が高かった。最後はアレで良かったのかな。2025/02/15