内容説明
財布を拾ってくれた七歳年下の男・檜山と出会った奈生子は四十二歳。男の粗暴さと嘘の多い経歴に疑念を抱くが、心は彼に傾いていく―。明治時代、銅山で栄える町の芸者アヤは坑夫の清人と恋に落ちた。会社の重役に身請けされても、彼のことが忘れられずに身体を壊す―。現代の男女と明治時代の男女、二組の恋愛が時間と空間を超えて結びつく。
著者等紹介
桐生典子[キリュウノリコ]
新潟県生まれ。青山学院大学仏文科卒。1996年『わたしのからだ』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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袖振り合うも多生の縁。輪廻とか、運命とか、証明できないその神秘さを只受け入れてみれば、今日言葉を交わした彼らとの気が遠くなるほど昔からの縁に思い馳せる事となる。目の前に立ちはだかる壁。前世でもしこの壁に阻まれ先に進めなかったのなら、大丈夫。私は越えてみせる。繰返す出逢いと別れの未練に押し潰された過去があるなら、大丈夫。私は後悔しないよう最善を尽くす。次に手渡す私の魂が、できうる限り澄んでいるように全うしよう。命の連鎖。後悔しない生き方。私は私の持てるだけの全力で。笑顔でバトンを渡せるように。2016/04/25
ひでのすけ
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最後のシーンを描きたいがために、ここまで別立てで話を進めてきたのでしょうか。アヤ側の物語は切ないお話ではありますが、これが現在とリンクして云々ってのはなんだかなぁ、という感じがします。結局よく分かったのは桧山が最低な人間だったということ。生い立ちに同情する部分はあるけど、そこまで屈折するかな?普通のお姉さんだっているのに。2024/12/09
♡Rina♡
1
現在と明治時代の2組の男女の話がリンクしていく。わたしはとにかく明治時代のアヤと清人のお話が好き。もう切なくて…。清人みたいに愛を貫く人はそういないだろうと胸をうった。この2人の物語だけでも読む価値アリとわたしは思う。