内容説明
接待酒のあとは、必ず帰社して、部下に説教を垂れる。叩き上げの営業課長・山中剛の猛烈ぶりは、「酔眼課長」「粘土課長」と呼ばれて、もうすっかり時代遅れになっていた。自信を失い、迷い始めた山中は―(「四十にして惑わず」)。サラリーマン大受難のいまこそ、読むべし!泣けて笑えて、じんとくる。面白すぎて、ためになる。大共感と大納得のユーモア企業小説。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。’77年に、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。人事、広報等を経ての築地支店長時代の2002年に『非情銀行』を発表。’03年3月に同行を退職し、専業の作家生活に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
139
「四十」を越えた今こそ、よりいっそう共感できる本作です。サラリーマンの悲哀をあの偉大な「孔子」の『論語』を用いて、様々な視点や状況から語られるお見事な短編集です。とにかく1編1編が見事にまとまられ、そのオチたるや喜怒哀楽すべてが表現される珠玉の物語ばかりです。非日常的なネタではなく、どこにでもいそうで、いつでも起きそうな出来事をとても普通に書き綴る江上さんの力量に脱帽です。他作品における江上さんの溢れんばかりのパワフルさはありませんが、別の一面を知るコトができる、ある意味とても貴重な作品だと思います。2013/04/27
Satomi
50
サラリーマンの悲喜こもごもを孔子の論語を交えて描いた短編7話。主人公は40代の男性サラリーマン。出世争い、足の引っ張りあい、社内恋愛、不倫疑惑、横領…。どこの会社でもありそうな、身近に似たような人がいるような…!?!?「四十にして惑わず」四十を過ぎても惑わされてばかりだけれど、まぁ、それもアリかなと思わせてくれる!!ちょっとした自己啓発本のような、中年サラリーマンにとっては我が身を省みるのにちょうどイイ一冊!!2015/08/06
達ちゃん
38
「始終惑う」がすごくズーンと心に響きました。四十を超えた男子?としては、とても身に染みる短編集でした。面白かったです。2019/08/01
Walhalla
23
『サラリーマン論語小説』と銘打たれた作品です。 論語を逆説的に用いるところなど、とても興味深いです。 著者はある雑誌の連載で、「四十代が迷いやすいのは、選択肢が多いから」と述べています。「四十にして惑わずではなく、四十にして惑う。すなわち始終惑うってことさ」「四十代は悪あがきの年代ってことだよ」。いろんな解釈があって面白いですね。一方では、サブプライム問題や食品偽装問題など、著者らしい話題も満載で読み応えありです。2018/01/18
ヨムヒト
12
コンプライアンスが強く求められるのは、これに背く行動が多いから。即ち、反•論語的経営者が巷に溢れかえっていると言うこと。ビジネスの世界には、聖人君子が存在が稀有。従い、ビジネスの世界で戦う我々は、反•論語的にビジネスせよ!というのが主旨。なんとことだ笑「上司が自らを評価しない事に怒らない為に、自らをアピールせよ」「四十にして惑わず→始終迷うのが常」「巧言令色を客には尽くせ」などなど。読後改めて思うのは「従い人間から感情を除き全て最適化するAIとなれば良い」即ち聖人君子とはAI搭載のアンドロイドである。2023/09/12