内容説明
きっと誰もが、この物語の中にいる。福島県から上京し、三軒茶屋でひとり暮らしをはじめた大学生・森谷未明。ある日、思い切って本屋「twililight」に入ったことから、未明の生活は変わっていく。友達と出会い、夜の街を歩き、初めてお酒を飲む。そして、恋をする。twililightの屋上から眺める夕暮れに染まる三軒茶屋、未明は何を探し、何を見つけるのか。
著者等紹介
畑野智美[ハタノトモミ]
1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
163
『きっと誰もが、この物語の中にいる。』くぅ、私はいなかったよう・・(汗)って言うか、随分と遠くまで来ちゃってなんだか照れちゃって読んだ感じの、久しぶりの畑野さんだった。2023/04/18
モルク
130
大学進学で福島から上京し、作家である従兄が住んでいた三軒茶屋のアパートを引き継いで生活する未明。だがコロナで1年はリモート授業だった。2年になりやっと対面授業も始まり…友人ができる、そして恋も始まる。180ページ、行間も広くあっという間に読めてしまう。コロナ禍での日常が描かれ、東京で暮らす地方出身の女子の心情もよく描かれている。短い中にも畑野さんらしい文章が散りばめられている。この状況が懐かしいなと思える時が来るのはもうすぐか。2023/05/31
ツン
97
コロナ禍の暗闇から少し明かりが差してきて、朝を迎える。ネーミングはそんな感じなのかなと思いました。社会人は通勤しないわけじゃないし、まあまあ普通の生活ができていて、大学生は本当にかわいそうだなと思っていたので、少しほっとした感じの読後感でした。2023/07/15
みかん🍊
93
福島から東京の大学に進学したがコロナでリモート授業、友達も出来ずそれでも小説家の従兄やバイト先の人達に助けられなんとか東京一人暮らしが出来ていた、有る日twililightというcafe併設の本屋さんで知り合った男性に次第に惹かれていく、何気ない大学生の日常、生活に困窮している訳ではなく、家族とも仲良く仕送りもして貰えていてまだ恵まれている方だとは思うが閉塞的なコロナ禍での大学生活はやはり大変でしんどかったと思う、twililightは実在していてこの本も出版された、畑野さんは従兄の立場なのかな。2023/07/21
ウッディ
90
コロナ禍で大学生になり、福島から東京に出てきた未明。授業がオンラインになり、クラブやサークルもできず、外出もままならず、思い描いていたのと違う大学生活を描いた物語。バイト先のコンビニで声をかけられ、初めてできた友達、「トワイライライト」という行きつけの本屋のカフェができ、初めてできた恋人、モノクロの生活に鮮やかな彩りが戻ってくる様子が描かれていました。大きな出来事が起こるわけではないが、コロナ禍でこの時期にしかできない経験の機会を失った学生たちに、捧げるエールのような一冊でした。2023/07/14