内容説明
ミステリーにおける最大の謎は、人の心の奥深くにある―。警視庁の大迫警視が、あのハイジャック事件で知り合った「座間味くん」と酒を酌み交わすとき、終わったはずの事件は、がらりとその様相を変える。切れ味抜群の推理を見せる安楽椅子探偵もの六編に、「月の扉」事件の十一年後の決着を描いた佳編「再会」を加えた、石持ミステリーの魅力が溢れる連作短編集。
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年愛媛県生まれ。九州大学理学部を卒業後、食品会社に勤務。鮎川哲也編の公募アンソロジー『本格推理』(光文社文庫)に、秀作短編を発表したのち、光文社の新人発掘企画「カッパ・ワン」に応募した『アイルランドの薔薇』で、2002年に長編デビュー。’03年刊行の第二長編『月の扉』は、各種のランキング企画に上位ランクインし、日本推理作家協会賞の候補にもなる。さらに、’05年刊行の『扉は閉ざされたまま』は、ベストセラーとなり、いまもっとも期待される本格ミステリーの旗手(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
132
座間味くんその2。連作短編集。安楽椅子探偵モノ。月の扉の後日談である再会がイイ話だった。2015/11/09
yanae
108
月の扉で登場した座間味くんが活躍する連作短編です。ハイジャック事件で知り合った座間味くんと、大迫刑事。事件後に偶然会ってから、数か月に1度は飲む仲に。飲みながら大迫刑事がすでに解決した事件を座間味くんに話すと、事件の真相が見えてくるという展開。どれも安定した面白さで楽しく読みました。事件のトリック…というより、解説にもあったのだけど、当事者たちがどんな気持ちで事件に関わったかというところに焦点をあてています。座間味くんにも子供ができたのね。シリーズ続くようなので追いかけます。2017/04/28
bura
71
読友さんの紹介で。「月の扉」に続く座間味くんシリーズ第二弾。あのハイジャック事件の後日譚を含めた連作短編集。座間味くんが警視庁の大迫警視と飲みながら、終わった事件の話を聞いて推理する「安楽椅子探偵もの」座間味くんが全く異なった角度から、その事件をひっくり返す瞬間が実に面白い。そして事件は本当の姿を見せていく…。すっかり座間味くんのファンになってしまったが、彼の本業は何なのだろう?2022/10/10
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
64
『月の扉』で探偵役を務めさせられた座間味くんが、今度は安楽椅子探偵として、終わったはずの事件の見過ごされていた“真相”を導き出していく連作短編集。わずかに生じた違和感から推理を組み立て、事件の構図をガラリとひっくり返していく展開自体の切れ味もさることながら、謎が解かれると同時に秘められていた人の思いがじわりと浮かび上がってくるところも味わい深い。まさに、これぞ珠玉の短編集だと、太鼓判を押したい気分。各話で座間味くんが食べている料理がまた実においしそうで、いろんな意味で“ごちそうさま”と言いたい一冊だった。2014/09/25
ブランドのアーメン
52
座間味くん再登場の連作短編。いやー凄く面白い。今回は日常の中で起きる非日常な事件に、事件関係者や警察が気づかなかった真相にスポットを当て、人間の深層に迫る安楽椅子もの。作者の特徴であるwhyダニットの追求、名探偵などいないという作者の信念がそれらと上手く噛み合っており、素晴らしい。沖縄愛、人間愛に溢れ、素人探偵に徹し、推理の批評家に過ぎない座間味くんのキャラも最高。特に、最後の科白が心に響く「水際で防ぐ」、前作「月の扉」の後日談、「再会」が傑作。2015/10/14
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