内容説明
妻に先立たれた日高一郎は、お年寄りのための施設「シルバー村」の常連だ。騒々しい女性グループには辟易していたのだが…。そんな時、珍しく初々しい女性と知り合う。どうやら、彼女は怪しげな投資話に乗せられているらしい。一肌脱ごうと決めた一郎は―(第1話)。コミュニティセンターを舞台に、ある家族が巻き込まれる様々な事件を描く、傑作ミステリー。
著者等紹介
青井夏海[アオイナツミ]
千葉県生まれ。慶応大学卒。1994年『スタジアム 虹の事件簿』を自費出版し、ミステリー界で幻の名著として評価を受ける(その後、東京創元社より文庫刊行)。さらに、2001年に刊行された『赤ちゃんをさがせ』はNHKでテレビドラマ化され、好評を博した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょこまーぶる
50
家族内でのそれぞれの距離感って難しいものだなと感じてしまった一冊でした。三世代家族がコミュニティセンターを舞台にして、家族一人一人が事件に巻き込まれるのだが、そのことを家族で共有することができないでいるが、最終話ではある事件をきっかけに、家族がそれぞれに常日頃思っていた思いのたけを語り合って、距離感が少し近づいた家族に対して、ちょっぴりホッとした思いがしましたね。誰でも利用できるコミュニティセンターって、この本のような出来事が発生しやすい場なのだろうか?と思うと利用を躊躇しようと感じる人もいるであろう。2015/10/21
のほほん@灯れ松明の火
18
家族5人それぞれがコミュニティーセンターで、なにかしら事件(?)に巻き込まれる話。1話目のお祖父ちゃんのお話で、近寄りたくはないなぁーと思っていた、おばちゃん軍団がまさかのお助け人になるなんて! いきなり話に引き込まれました。家族だからこそ、絶対に知られたくないことや、言わなくても 気持ちは分かってくれてるんじゃないかなぁーなんて思いこんでたり…。娘や息子から見れば、父親ですけど、父親だって 息子でも夫でもあるわけで…。そういうことを考えさせられる話でした。予想以上に面白い本でした。2012/03/08
ロマンチッカーnao
11
東京近郊のコミュニティーセンターを舞台にした話。何気なく手に取ったのに、面白かった。祖父、お父さん、お母さん、長女、次男、それぞれにコミュニティーセンターにそれぞれのかかわり方でかかわっている。地域になくてはならない存在のコミュニティーセンター。そんな中で事件が起きて、家族のつながりを再認識するんだけど、僕は、最初の祖父の詐欺事件の章が面白かった。2024/08/26
青葉麒麟
11
こんなでかい公民館?が近くに有ったら良いなって思う。御人好しの弟・耕の為にペンキ魔を捕まえようとする姉・真由が素敵。なんだかんだ言っても弟思いなんだね。しかし「勉強してるか?」だけで気付けってのは無理でしょ。2013/03/13
うぇい
10
とても面白かったです。 あまり期待せずに何気なく手に取った本で奥付見るとかなり前に出版された本みたいですが面白かったです。 北関東の首都圏のベットタウンに暮らす一家を中心に描いた連作ミステリーですが一話目から実録物のように迫力がありました。 最終話は少し展開が強引なようにも感じましたが、上手くそれなりのハッピーエンドになっているようで良かったです。2020/09/18