内容説明
中央アフリカで発見された奇病。その奇病に冒されたウイルス学者である友人に頼まれ、ナディア・モガールと矢吹駆は、アテネに向かう。目的は、ある資料を友人の師・マドック博士に届けるためだったが、博士は、なぜかアテネを離れ、クレタ島南岸に浮かぶ孤島「牛首島」に渡っていた…。圧倒的迫力とミステリの魅力溢れる本格推理傑作、待望の文庫化。
著者等紹介
笠井潔[カサイキヨシ]
1948年東京生まれ。’79年、矢吹駆シリーズの第1作『バイバイ、エンジェル』でデビュー、第6回角川小説賞を受賞。大河伝奇小説『ヴァンパイヤー戦争』が大ヒットする一方、評論活動でも注目を集める。2003年、『オイディプス症候群』と『探偵小説論序説』が第3回本格ミステリ大賞に選ばれ、小説部門と評論部門のダブル受賞となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yucchi
25
【クローズドサークル祭第七弾】事件が起こるまでが長い(*_*; ウイルスからギリシャ神話、恋愛観、果ては同性愛についての考察が延々と続く。第三回本格ミステリ大賞受賞作の今作を読む為に、矢吹駆シリーズを読んできてるけど、毎回薀蓄でお腹いっぱい。後半になってようやくクローズドサークルの緊張感が出てきたので、下巻は楽しみ。2015/08/14
パット長月
14
壮大な展開を予想させる立ち上がりとその後の誠に余裕含みの展開のなか、なんと、まだほんの序盤というところで上巻が終わってしまった。果たして同じ分量で、収拾可能なのだろうか?ともあれ、下巻へ。2022/12/29
ホームズ
6
事件が起きるまでが長いですね~。前半戦は前半戦で楽しめはするんですけどね(笑)後半、事件が起き始めてからの展開は良かった(笑)前に単行本で読んだ時はそれほど面白いとは思わなかったけど今回は引き込まれるな~(笑)2011/05/20
ネムル
5
『哲学者の密室』を初めて読んだヘビーな体験から、随分と長く積んだままにしてしまったなあ。2023/05/30
マヌヌ2号
4
『熾天使の夏』を読んですぐに読んだこともあって、まず本文の読みやすさにびっくりしましたね。サンプリング元が多岐に渡っていることもあって、ところどころ理解が追いつかない部分があったんですが、できる限り要素を追っていくだけでも十全に楽しめる作品でした。興味深かったのは、人間の関係性の三分類についての議論ですね。自分が未知の対象から〈見られる〉ことで生じる〈むきあい〉、共通の対象を第三者とともに見つめる〈ならびみ〉と、自身を見つめる〈わたしみ〉。ぼくはこのような区分を行うことを考えたこともなかったので……2020/09/23