内容説明
ふと目覚めると、麻田布満は北海道釧路市にある病院のベッドの上にいた。昨晩は、ここから遠く離れた西海地方の旅館に泊まっていたはずだが…。看護婦との噛み合わぬ会話から、麻田は十二年間の記憶をすっかり失っていることを知る―。自宅に戻り、徐々に平穏な暮らしを取り戻しつつある麻田に、知人・橋本勇二の冤罪事件に関する重要な役割が巡ってくる。
著者等紹介
大西巨人[オオニシキョジン]
1919年福岡市生まれ。九州帝国大学法文学部中退。毎日新聞西部本社勤務を経て、対馬要塞重砲兵連隊の一員として敗戦を迎える。戦後、福岡で雑誌「文化展望」の編集に当たり、「近代文学」第二次同人となる。’52年に上京。以後、幅広い創作活動を続けている。ほぼ四半世紀を費やして完成した大長編小説『神聖喜劇』(光文社文庫全五巻)は、現代日本文学の金字塔と称される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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