内容説明
士族の家に生まれた綺堂が、幼少のころに住んでいた旗本屋敷は、有名な幽霊屋敷だった。この世に怨みをもって出る日本の幽霊とは異なり、中国の幽霊は一見なんの縁もないところにあらわれる。そこが怖い。中国の怪奇譚に造詣の深い綺堂が、六朝から清に至る各時代の中から二百二十種を抄出して名訳。妖気ただよう幻想の世界へ読者を誘う、中国怪奇傑作集。
著者等紹介
岡本綺堂[オカモトキドウ]
1872年~1939年。旧幕臣の長男として東京に生まれる。新聞社に勤める傍ら劇評や小説を書き、文筆家としてスタート。新歌舞伎運動の代表的な劇作家としても有名。海外の推理小説を数多く読破し、その知識を元にして書いた『半七捕物帳』は、捕物帳の元祖と言える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
72
考えたら怖い話なのにライトに読めてしまうのは昔ながらのこわさに定型化された文体で綴っているから安心して読める。2022/08/14
鏡子
26
一話一話が短く、非常に淡々としているところがよかった。美しい女が突然現れて、「妖怪だな」とすぐ気がつき惑わされない所なんか、いい。石になったり、琵琶になったり、巨大な亀が恩返しをしたり。夫を殺された女の復讐が怖かった。「一思いには殺さないで、切って、切って、切り殺した。そうして、いよいよ息の絶えたのをみすまして、彼女はその血をすくって飲んだ。彼女は二人の子をつれて、そのままどこかへ立ち去った」妖怪をみたあと、三日後に死んだ。とかも怖かった。2015/10/21
あたびー
23
#日本怪奇幻想読者クラブ 南伸坊さんの本から引き続き中国怪談へ。青蛙堂に会した人物らが時代を追って中国の怪奇談を紹介する形を取っている。「第〇の男(女)は語った」と言う導入が千一夜物語の様でもある。大方東洋文庫などで別々に読んだ話なのだが、時代を追って語られると、古いものほど唐突に語られ唐突に終わる感があり、それがまた堪らなく良い。時代が下ると物語や説明が長々しくなって興をそがれることに気が付いた。また、南伸坊氏の指摘のように中国の人は怪異に対してすこぶる邪険である。すぐにぶちのめしたりする。面白い。2019/10/22
澤水月
21
亡父と共に埋めた妾が長く土中で生きてた、ザンバラ髪に赤服の兵に負ける化物などビックリ展開の話、オチなし奇妙話もあればロミジュリ(一時的に死なせ男女取り持つ)、キルケー的魔女の動物変異など他国にもあるタイプの話(どちらが発祥?高野聖も被影響?)、牡丹燈籠など日本で変わった話。キョンシー元ネタ入り「子不語」は有名だけあり図抜けて面白い、捜神記(後記)も。恩受けた亀がちらと振り向き沈む風情は海音寺潮五郎も言うようにたまらなくエモい!聊斎志異や諸星マンガなど途絶本読みたい。多勢が語る青蛙堂形式も女性交じるのも良い2019/02/24
マーブル
18
中国の小説の類いは、古来より日本に取り入れられ、強く日本文学に影響を与えてきた。今昔物語を始め、室町、江戸の時代のたくさんの小説に、その跡が見られる。そう言われてみれば、たしかに犬が敵将の首を取ってきて、王の娘を得る物語などは、すぐにあの物語が思い浮かぶ。 しかし、日本人の換骨奪胎が上手くいきすぎているのだろうか。あるいは、ここに納められている話を、翻案した日本文学からのさらなる変更も激しく、現代に生きる者には遠すぎて気付くこともかなわぬのだろうか。膝を打つ程に、思い当たるものは多くはない。2023/08/31
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