内容説明
昭和20年、敗戦。その衝撃は早熟な文学青年の精神を粉々にした。混乱のなか訪れたのは死よりも辛い虚無であった。しかし、立ち上がらなければならない。二度と過またないために。「世界」を捉える方法の獲取に向けて、思考は零から自力で開始される。純粋に痛切に綴られる詩人の初源の叫び。壮大な思想の出発点を為す極寒に燃える言葉たち。歴史的著作、初文庫化。
目次
第1部 戦後篇(姉の死など;覚書;箴言;宮沢賢治論;無門関研究;短歌;「時祷」詩篇;詩篇)
第2部 戦中篇(少年期;米沢時代;哀しき人々)
過去についての自註
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
詩人・思想家。1924年、東京・月島生まれ。東京工業大学卒。詩集『固有時との対話』『転位のための十篇』などで詩人として出発する一方、文学者の戦争責任論で論壇に登場。以降、言語論、思想論など人間の全幻想領域への原理的、歴史的な解明に向かう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。