出版社内容情報
殺人を犯したシナリオ・ライターが最強完全なアリバイで完全犯罪を作り上げようとするが、その先に待つのは――。表題作「月と手袋」と、乱歩自身が“私の体臭が濃厚な”という「影男」、そして少年探偵団の活躍が痛快な二編「灰色の巨人」、「黄金の虎」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
84
表題作について。ハナダ警部の犯人の追い詰め方がエグイ、マジでエグイ。しか裏を返せば、一日でも早く自首してほしかったという優しさだったのではないかとも取れました。2023/02/01
KAZOO
25
影男は大人用で乱歩も言っているように、「パノラマ島奇談」「大暗室」の二番煎じにすぎない、しかし乱歩は「自分の体臭のもっとも濃厚なもの」とも言っています。まあ結構好き嫌いの分かれる作品でしょうね。表題作は倒叙小説。後の2作は少年ものです。読んでいると対話が多いのでむかしのラジオの少年探偵団を思い起こします。2014/09/08
道楽モン
18
1955年の作品集。この年は乱歩先生の還暦執筆宣言を実行するべく生涯で一番作品を生み出したとのことで、「解説」にて55年製作品の詳細が述べられています。これがこの巻の白眉(汗)。一般向けの長編それぞれにテーマや力の入れ具合が異なっているのが顕著に判る。まあ、常に100%全力投球は無理だ。表題作は倒叙ミステリ、『影男』はセルフ・オマージュ満載の乱歩節炸裂の楽しい作品。これ勿論、作品としては破綻してますが、これでもかという位に乱歩の趣味が詰め込まれており、明智小五郎がオマケに見える程。少年モノも2作収録。2024/01/15
不見木 叫
15
異色のサスペンス「影男」と倒叙ミステリ「月と手袋」、少年探偵団もの2編。様式美とはいえ続けて読むとやや飽きがくるのが難点。2024/06/14
san0604
12
「影男」「月と手袋」は 大人向き 「灰色の巨人」「黄金の虎」は児童向き ってことで 児童向きは子供の頃に読みたかった 少年探偵団の活躍は昭和の子ならたまらんだろ(文体ワクワクする)って思う。影男は もう 詰め込みすぎ!!月と手袋が1番 しっくりかなぁ。とはいえ 全体的には 楽しめたし 江戸川乱歩って こうだよなぁ と再認識した。2024/12/25