内容説明
中年は守りの季節どころか、最も冒険するにふさわしい、知識と経験の充実期/中年時代は社会的なレッテルをあえてはがし、何者でもない個人としての自分を見つめ直すべきとき…。否定的に扱われがちだった「中年」を前向きにとらえ直す姿勢に、元気が湧いてくる。人気劇作家が、芝居のこと、身辺の出来事などを、しなやかな筆致で綴った痛快エッセイ集。
目次
「おばさん」志願
売り込みの立場
旅の胸騒ぎ
ガンコおやじ考
パソコンが来た
生活の柄
顔は物語る
なぜ「ぼかす」?
座無しの銘
面白うて、やがて…〔ほか〕
著者等紹介
永井愛[ナガイアイ]
1951年東京生まれ。劇作家・演出家。桐朋学園大学短期大学部演劇専攻科卒。’81年より、主宰する劇団「二兎社(にとしゃ)」で自作のプロデュース公演を続けている。卓抜なストーリー展開、人物造形の面白さ、軽妙な台詞、今日的なテーマ設定などに定評があり、’97年「ら抜きの殺意」での鶴屋南北戯曲賞をはじめ、演劇界の賞を次々と受け、2002年には朝日舞台芸術賞秋元松代賞を受賞した。社会批評性のあるウェルメイド・プレイの書き手として、最も期待される劇作家の一人。「萩家の三姉妹」「こんにちは、母さん」「片づけたい女たち」などの作品がある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
氷柱
7
320作目。5月2日から。含蓄のある脚本を手掛ける舞台作家の作品。これといって人に勧められるような種類のものではないが、ジェンダー論と、青年と老年の間に位置する中年という年齢層についての論が等身大に展開されている。冒険心を持ちチャーミングでいるべきだという論と、「人生このままでいいのか?」という感覚に襲われ負の循環に陥る論が矛盾しているようにも見えるが、作者の見聞がしっかりと映し出されていてかつ新鮮で好き。2017/05/04
やす
4
エッセイ集。育ての母、実祖母の晩年を描いた「老いの姿」が出色。お婆さんは市川房江の年齢で一年先輩。教師として未来を嘱望されたが一年で恩師と結婚退職。(優秀な女性を葬る手段だったのではないかと私は邪推)年をとるということはそういう抑圧の一部が溶け出ていくこと。短い中に105歳まで生きたお婆ちゃんの人生を濃縮して圧巻。2011/04/24
takao
3
ふむ2024/03/24
YAP
2
タイトルにひかれて購入。筆者は、演劇界では有名な方らしい。私は演劇にほとんど触れたことはなかったが、社会を見る鋭い視点と、言葉巧みにあやつり読む者を笑わせてくれる要素もあった。演劇に興味が湧いてきた。2019/07/30
yonet35
1
コレを読んでいるうちに、自分が中年になっていたことにやっと、気が付いたよ(笑)若くもないし、年寄りでもない・・・なんともフクザツな年齢にいつのまにかなっていた。心のもどかしさを感じる。2010/04/01